Journal of UOEH
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喉頭全摘者の職場復帰を検討した二事例と耳鼻咽喉科専門産業医の役割
宇高 毅藤吉 達也藤村 武之山本 文昭佐々木 史郎岡本 正紀鈴木 秀明
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キーワード: 喉頭全摘, 職場復帰, QOL
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2004 年 26 巻 2 号 p. 253-258

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抄録

喉摘者の社会復帰は重要な問題である. 今回, 産業医業務に携わることによって, 臨床医の立場からは認識できなかった点を検討することができ, 耳鼻咽喉科専門産業医の果たす役割は大きいと思われたので, 自験例を基に検討し報告する. 事例1は55歳男性の郵便内務職. 下咽頭癌にて根治術と再建術が行われた. 退院後3ヶ月間の自宅静養の後に職場復帰し, 軽作業に従事することから始め, 3年後には元職に復帰できた. 事例2は50歳男性の郵便外務職. 下咽頭癌にて根治術と再建術が行われた. 退院後, 外務職という点を考慮した職場復帰を検討中であったが, 再発により職場復帰は果たせなかった. 喉摘者の職場復帰に当たっては, 職場事情・環境, 心身医学的所見などを包括的な視野に入れた支援態勢が必要であると思われた. また我々, 耳鼻咽喉科専門産業医は, 産業医ならびに臨床医に対して, 喉摘者が円滑に職場復帰を果たせるような支援を行うことが必要と思われた.

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© 2004 産業医科大学
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