2004 年 26 巻 4 号 p. 423-430
防蟻剤に関連する市販5種の化合物の発癌プロモーター活性を, Bhas42細胞を用いた形質転換フォーカス形成試験で測定した. 同時にイニシエーター活性(変異原性)をAmes法の変法であるマイクロサスペンジョン法で測定した. その結果, 形質転換フォーカス形成試験では, フェニトロチオン, シラフルオフェン, ビフェントリンで発癌プロモーター活性が認められた. その活性の強さは, フェニトロチオン>シラフルオフェン>ビフェントリンの順になった. 一方, 変異原試験ではS-421とフェニトロチオンに変異原性が認められた. また, それぞれの活性はあまり高くはなかったが, S-421>フェニトロチオンとなった. 2段階発癌のメカニズムなどを考慮すると, 両活性を示したフェニトロチオンや発癌プロモーター活性およびイニシエーター活性を単独で示した化合物でもそれらの同時使用や長期曝露は極力避ける必要があることが示唆された.