本研究の目的は, 看護学生の看護診断プロセスを明らかにすることである. 対象は精神看護学実習でうつ病患者を受け持った看護学科4年生20名とした. 学生の実習記録から看護診断名決定の根拠とした情報を抽出し, North American Nursing Diagnosis Association (NANDA)の看護診断と診断指標・関連因子に基づきカテゴリーに分類した. その結果, 学生は看護診断名を決定する際に患者の訴えだけを重視し, 根拠となる客観的情報収集が不十分な傾向があることがわかった. 情報不足の原因として, 学生の知識不足, 情報収集の機会の不足があげられた. 以上のことより, 教員は学生が多角的な視点を持って情報収集できるよう指導していくことが必要である. 今後の指導方針として, 1. 病態に関する基礎知識, 看護診断名決定の際の原因または関連因子の確認, 2. 病棟スタッフと学生の調整, 3. 学生主体のカンファレンスの進行についてアドバイスが必要である.