文法化研究の進展にともない英語強意詞の発達に関する研究も行われてきた. 多くの先行研究では強意詞の主な供給源である副詞や形容詞からの意味変化の過程に焦点が当てられているが, 一方, 前置詞句や名詞句から発達した強意詞にはほとんど注意が向けられてこなかった. しかし, 意味変化の観点からのみならず文法化や主観化の面から考えてもこれらの強意詞の発達にどのような要因が関与しているかという点は非常に興味ある課題である. 本論文ではindeed, a lot, a great/good deal, big time, all X wants/likesという強意詞の発達を考察し, メタファー(隠喩), メトニミー(換喩), 会話の含意, 再分析, 発話の力を産出しようとする話者の意図などの要因がその意味変化に関与していることを明らかにした. さらに, ここで論じた意味変化を文法化の例と考えると, 多くの語句は主観化しており, 文法化に伴って意味の主観化が起こるとするトローゴットなどの主張を支持するという理論的意味合いを持つ.