Journal of UOEH
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Nアセチルシステインは3T3-L1脂肪細胞において一酸化窒素合成酵素の誘導を阻害する
荒木 俊介土橋 一重久保 和泰川越 倫子山本 幸代白幡 聡
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2007 年 29 巻 4 号 p. 417-429

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抄録

抗酸化物質であるN-アセチルシステイン(NAC)の脂肪細胞における一酸化窒素(NO)合成酵素(iNOS)の誘導への影響を検討した. 3T3-L1脂肪細胞にエンドトキシンと腫瘍壊死因子αを同時に加える(LT)と, 有意なNOが産生された. NACによりこのNOの産生は濃度依存的に抑制された. ウエスタンブロット法およびリアルタイムRT-PCR法で, NACによって蛋白およびmRNAレベルで, iNOSの発現が抑制されることが判明した. iNOSの誘導に関わる転写調節因子nuclear factor-κB (NF-κB)はLT刺激により著明に活性化されたが, 20mMのNACにより45%抑制された. NR-κB阻害剤として知られるpyrrolidine dithiocarbamate(PDTC)もNO産生を濃度依存的に抑制した. NF-κBで発現が高まるIL-6の産生もNACおよびPDTCにより抑制された. 今回の検討でNACは3T3-L1脂肪細胞においてNF-κB活性化を抑制し, iNOSの誘導とそれによるNO産生を抑制することが明らかとなった.

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© 2007 産業医科大学
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