抄録
紫外線感受性酵母 (rad mutant) を用いて, エチジウムアジドの変異誘発能および生存率の変化を検討した. 生存率においては, 用いた全ての変異株で正常酵母より低く, 特にrad 1とrad 3が最も低く, またrad 6とrad 52は正常酵母に近い値を示した. 呼吸欠損変異の誘発においては, 生存率の場合と異なり, rad 1, rad 9および正常酵母では生存した全ての細胞が呼吸欠損変異を起こした. これに対し, rad 3, rad 6, rad 52では呼吸欠損変異の誘発に対して抵抗性を示した. しかしながらこれらの変異株も, 対数増殖期におけるエチジウムアジド処理により, 生存率が低下し, 呼吸欠損変異の誘発も正常酵母のそれと同様の値を示した.