1981 年 3 巻 1 号 p. 15-22
副腎髄質からのカテコールアミンの遊離はアセチルコリン受容体を介した細胞膜の脱分極に共役したものであり, カルシウムが共役因子として働いている. 従って共役因子としてのカルシウムの作用をcell free systemで再現することはカテコールアミンの遊離機構を解く上で最も重要な課題である. 通常, 細胞内のフリーカルシウム濃度は10-8-10-7Mに保たれており, 細胞膜を刺戟することにより10-6M程度に上昇するとされている. 今般, 我々はカテコールアミン遊離促進因子(副腎髄質細胞質蛋白の一分画)とフォスフォリパーゼA2の共存下で, 10-6Mオーダーのカルシウムが副腎髄質顆粒からのカテコールアミン遊離を起こすことを認めたのでここに報告する.