抄録
電子顕微鏡写真上のラット下垂体成長ホルモン分泌顆粒を2つの方法によって定量的に解析した. 1つは内分泌顆粒を球と仮定して電顕写真上でそれらの直径を計測し, 単純球に関するstereologicalな変換を施し, 更にGauss近似を行う方法である. 1つは電顕写真上, 限界膜を有する顆粒のみを測定の対象とし, これを直ちに球直径とみなす方法(hypothetical equatorial method)である. 前者の方法では直径の異なる大, 中, 小の3つの顆粒群が出現し, 後者の方法では前者の結果と直径を同じくする大, 小2つの顆粒群が出現し, 中間群は出現しなかった. もし中間群に限界膜を有すると仮定すると, 後者の方法においても, この群は出現するはずであるが, 中間群は前者の方法によってしか出現しなかった. このことより, 従来から知られている2つの顆粒群の中間の大きさを有し, 限界膜のはっきりしない顆粒群が存在することが判った.