抄録
手の種々の機能の数量表示が行われて来ている. 然し, これ等の正常値が色々な環境や個人の条件で, どう変動するかの報告は少ない. そこで一連の基礎的な生理学的な実験を行った. 手の種々の機能の中で3つの示標を選んだ. 即ち, 指皮温, 指振動覚, ピンチカ. 環境条件として, 10℃, 湿度50%と30℃, 湿度50%の2つを選び, 負荷テストとして一側手の冷水浸漬を夫々の環境下で, 21健康成人男子に実施し, 3示標の経時変動を測定した指皮温は, 高令群で梢高く, 浸漬手指皮温の40分間後の回復は, 30℃室内で, より円滑, 浸漬手のピンチカは, 減少し, これは, 10℃室内で著明. 指振動覚は同様に浸漬手指で鈍麻化した.