Journal of UOEH
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低血圧・ショックの簡単な心エコー診断
尾辻 豊
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2008 年 30 巻 4 号 p. 431-442

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抄録

低血圧・ショックは, 左室駆出量が減少した場合と保たれた場合に分類される. 左室や大動脈弁および僧帽弁の機能異常によって左室駆出量が減少し, 心筋症, 左主幹部病変, 急性心筋炎, 急性および亜急性の大動脈弁逆流などが原因疾患となる. 心エコー検査により原因も含めた診断が可能である. 左室前負荷が足りないためのショックは, タンポナーデや右室駆出量の減少(肺塞栓症, 三尖弁逆流, 右室梗塞, 緊張性気胸, hypovolemiaなど)により出現し, 左室腔は小さく, 壁運動は保たれている. 左室駆出量が正常なのに低血圧ショックとなることもあり, 敗血症・アナフィラキシー・神経調節性疾患が含まれる. 偽低血圧は, 大動脈解離・高安動脈炎・閉塞性動脈硬化症・大動脈縮窄症などにより出現し, 心エコー検査で診断可能である. このように基本的な心エコー検査により低血圧・ショックの迅速な診断が可能である.

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© 2008 産業医科大学
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