事業所における生物因子のリスクアセスメントツールの作成を試みた. このツールは, 発生前の一次予防に資するためのツールであり, その結果に基づいて各作業場の実情にあった方法で未然にリスク低減を図る事を目的とした. 評価する作業場は特定業務以外の作業場とする. リスク要因は, 病原体をヒトからヒトへの感染の有無で大別し, ヒトの要因, 感染源・感染経路に影響をおよぼす要因を点数化して評価する。ヒトからヒトへの感染がある病原体については, 50歳以上の従業員の割合, CO
2濃度と気積, 共有施設と共同作業の組み合わせを点数化し, その合計点数で評価する. ヒトからヒトへの感染がない病原体の場合は50歳以上の従業員の割合, 気流と気積, エアロゾル発生装置の有無を点数化し, 合計点数で評価する. いずれも合計点数が7点以上はグループAとして, 感染対策委員会の運営, 従業員教育, 作業管理, 作業環境管理の対策を日常的に取ることを強く推奨する. 5, 6点はグループBとして, 感染対策委員会の運営, 従業員教育の対策を日常的に取ることを推奨する. 4点以下は感染対策委員会の適切な運営を行い, 問題発生時に対策を取ることとする.
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