Journal of UOEH
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産業医業務に対する産業医科大学卒業生産業医の意識変化
-2001年と2008年調査の比較-
中村 早人一瀬 豊日松本 哲朗戸倉 新樹
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2009 年 31 巻 3 号 p. 281-291

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抄録
産業医科大学の卒業生について, 産業医業務の現状と従事する産業医などの意識を把握する目的から, 調査票によるアンケート調査を2001年7月と2008年7月に行った. 産業医科大学卒業生で企業に所属する産業医および労働衛生機関に所属する医師などに対して, 調査票を送付して回答を依頼した. 調査内容は産業医などの経歴や活動内容, 業務に対する考え方などであった. 集計を行い下記の推移を得た. 1. 現在の処遇として給与や権限に関しての不満はそれぞれ29.2%から24.7%および29.9%から19.7%と減少していた. 2. 企業から期待された業務としては, 健康診断の実施とその事後措置の割合が74.7%から51.5%に低下し, メンタルヘルス対応や過労死などの会社の安全配慮義務への対応の割合がそれぞれ54.5%から85.6%および22.1%から32.4%に増加していた. 3. 産業医として勤務して感じたギャップについて, 業務自体が社内で評価されていない割合が32.5%から23.1%と低くなっている傾向が認められた. 2008年の調査から, 産業医科大学卒業生産業医の置かれている状況は7年前と比較した場合, 会社から期待される業務内容の変化がみられ, 給与や権限面での処遇および産業医業務を行う上での不満感などは改善がみられた.
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© 2009 産業医科大学
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