Journal of UOEH
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トルエン曝露したマウスの空間学習行動と記憶機能関連遺伝子発現へのD-シクロセリンの影響
ウィンシュイ ・ ティンティン影山 志保塚原 伸治中島 大介藤巻 秀和
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2010 年 32 巻 2 号 p. 127-140

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抄録
N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体のアゴニストD-シクロセリンの投与が, トルエン曝露による空間認識障害の改善に効果があるか否かC3H/HeNマウスを用いて検討した. モリス水迷路を用いての空間学習試験で, 水中の踏み台を捜す訓練習得段階ではトルエン曝露(50ppm, 6時間/日, 6週間)をうけD-シクロセリン投与したマウスで投与(20mg/kg)しないマウスより学習効果がよくなった. 踏み台を取り除いて観察するプローブトライアルでは, やはりトルエン曝露をうけD-シクロセリン投与したマウスにおいて投与しないマウスより保持機能の改善, およびRT-PCRによるNMDA receptor subunit 2B(NR2B)遺伝子発現の増加がみられた. 本研究結果は, トルエン曝露がNMDA受容体機能に影響を与え, D-シクロセリン投与がNR2B遺伝子を介して空間学習機能回復に貢献している可能性を示唆している.
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© 2010 産業医科大学
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