Journal of UOEH
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32 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • ウィンシュイ ・ ティンティン, 影山 志保, 塚原 伸治, 中島 大介, 藤巻 秀和
    原稿種別: 原著
    2010 年32 巻2 号 p. 127-140
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体のアゴニストD-シクロセリンの投与が, トルエン曝露による空間認識障害の改善に効果があるか否かC3H/HeNマウスを用いて検討した. モリス水迷路を用いての空間学習試験で, 水中の踏み台を捜す訓練習得段階ではトルエン曝露(50ppm, 6時間/日, 6週間)をうけD-シクロセリン投与したマウスで投与(20mg/kg)しないマウスより学習効果がよくなった. 踏み台を取り除いて観察するプローブトライアルでは, やはりトルエン曝露をうけD-シクロセリン投与したマウスにおいて投与しないマウスより保持機能の改善, およびRT-PCRによるNMDA receptor subunit 2B(NR2B)遺伝子発現の増加がみられた. 本研究結果は, トルエン曝露がNMDA受容体機能に影響を与え, D-シクロセリン投与がNR2B遺伝子を介して空間学習機能回復に貢献している可能性を示唆している.
  • 池上 和範, 田原 裕之, 山田 達治, 真船 浩介, 廣 尚典, 永田 頌史
    原稿種別: 報告
    2010 年32 巻2 号 p. 141-153
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    我々は2005年から2007年にかけて, 従業員数約2000人の精密機器製造事業場において, 労働者のメンタルヘルスの増進に取り組んだ. 特に上司の部下への支援強化を目的とした積極的傾聴を取り入れたメンタルヘルス研修プログラムを全管理者を対象に実施し, 職場や従業員への効果を評価した. 全従業員を対象に職業性ストレス簡易調査票による調査と経年的な休職者数の変動を調査した. 職業性ストレス簡易調査票の「仕事のストレス要因」を構成する9つの下位尺度のうち「仕事の量的負担」, 「仕事の質的負担」および「身体的要求」の3尺度の得点が, 我々の介入後有意に改善した. また休職者数は2005年まで増加傾向であったが, 2006年と2007年は, 2005年の約半数に減少した. 我々の管理者を対象としたメンタルヘルス研修は職業性ストレスを軽減させると同時に休職者数を減少させることで, 職場のメンタルヘルスの増進に有用であった.
  • 春山 護人, 杉田 和成, 川上 千佳, 中村 元信, 戸倉 新樹
    原稿種別: 症例報告
    2010 年32 巻2 号 p. 155-159
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    皮膚有棘細胞癌は, リンパ行性転移をきたしやすいことで知られているが, 脊椎への転移は極めて稀である. 今回我々は, 皮膚有棘細胞癌の胸椎転移例を経験したので報告する. 症例は, 73歳男性. 2005年11月に右4趾皮膚有棘細胞癌に対して, 原発部の切除と右鼠径リンパ節郭清術を施行した(T2N1M1). 以後3年間, 多発リンパ節転移に対して, ペプロマイシン投与とCAV療法(シスプラチン, アドリアマイシン, フィルデシン), さらには放射線治療を行った. 2008年9月, 腰痛と排尿障害を主訴に来院した. MRI上, 胸椎に腫瘤を認め, 脊髄を圧排していた. 血中SCC抗原も高値を示した. 化学療法と放射線治療を行い, 症状の改善とSCC抗原の低下を認めた. 皮膚有棘細胞癌の患者の経過観察において, 脊椎転移も念頭に置く必要がある.
  • 椎葉 美千代, 齋藤 ひさ子, 福澤 雪子
    原稿種別: 原著
    2010 年32 巻2 号 p. 161-176
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    臨床と教育の協働のあり方については, ユニフィケーションの発想を基盤とした提言がなされてきたが, 導入が難しく普及は進んでいない. 実習指導者と教員の協働は, 他施設で実習を行う学校においても取り組むことが可能であり, 実習の質向上が期待できる. 本研究では, 34施設の実習指導者384名を対象に, 実習指導者と教員の協働の基準となる構成因子, 特性, 影響要因, 要因の影響度を分析した. 主要な構成因子として意思決定, 協調性, 情報共有の3因子と28項目の指標が導かれ, 特性としては, 実習の問題事項に関する協働はできているが, 実習指導の充実に関する協働は十分でないことが明らかになった. 協働に与える影響度が大きい要因は, 一部署が受け入れる異なる教育課程数, 会議開催間隔, 学生の意思を尊重した指導, カンファレンスへの参加・助言, 実習指導者や師長の会議参加, 教員の実習指導体制であることが示唆された.
  • 楠原 浩一
    原稿種別: 総説
    2010 年32 巻2 号 p. 177-194
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    感染症の宿主遺伝要因は「微生物の侵入や免疫応答に関わる遺伝子の塩基配列の違い(遺伝子変異・多型など)」として説明される. 我々は, 抗酸菌感染症と亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)の宿主遺伝要因に関する研究を行い, 弱毒抗酸菌であるBCGによる骨髄炎の遺伝的背景として本邦では優性遺伝形式をとるinterferon(IFN)-γ受容体1部分欠損症の頻度が高いこと, 同じinterleukin(IL)-12/IFN-γ経路の分子であるIL-12受容体β1の遣伝子多型が日本人における結核の発症および重症化の要因であること, SSPEの発症には, 自然免疫関連ではmyxovirus resistance protein A(MxA)とtoll-like receptor 3(TLR3), 獲得免疫関連ではIL-4とprogrammed cell death 1(PD-1)の遺伝子多型が関わっていることなどを明らかにしてきた. 感染症に対するこのような免疫遺伝学的アプローチは, 発症リスクの評価や重症化の予測, それに基づく予防・治療の個別化, さらには新しい治療法の開発に繋がるものと期待される.
  • 王 克鏞, 谷本 昭英, 笹栗 靖之
    原稿種別: 総説
    2010 年32 巻2 号 p. 195-203
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    動脈壁の細胞外マトリックスは, 主に血管平滑筋細胞から作られる. 動脈硬化病変においては, とくにⅠ, Ⅲ, Ⅳ, Ⅴ, Ⅷ型コラーゲンとエラスチンの高発現が確認されている. 細胞外マトリックス分解に中心的役割を果たす酵素としてマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase; MMP)が知られており, 動脈硬化の発症と進展, 動脈瘤の発生と破裂, 粥腫の不安定性などにMMPは関連している. MMP1, 2, 3, 7, 9, 12, MT1-MMPなど多くのMMPが動脈脈壁に発現しており, 主たるMMPの産生細胞は血管平滑筋細胞と動脈硬化病変に浸潤したマクロファージである. 本総説では動脈硬化病変と細胞外マトリックスおよびその分解酵素でありMMPの関連について詳述する.
  • 荒木 俊介, 高橋 大二郎, 松井 美優, 斉藤 玲子, 守田 弘美, 石井 雅宏, 千手 絢子, 森下 高弘, 高野 志保, 千葉 宙門, ...
    原稿種別: 報告
    2010 年32 巻2 号 p. 205-211
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    2001年から2007年に新生児集中治療病棟において脳低温療法を施行した重症新生児仮死児21例を対象に, 予後と予後におよぼす要因を診療録を用いて後方視的に検討した. 退院時の予後は11例(52.4%)が良好, 5例(23.8%)が後遺症あり, 5例(23.8%)が死亡であった. 死亡あるいは後遺症を残した10例は予後良好例と比較して在胎期間が短く, Apgarスコアが低い傾向にあり, 血中乳酸値が有意に高値であった. 特に, 在胎週数34週未満(3例全例), 入院時血中乳酸値200mg/dl以上(7例中6例)は予後不良因子と考えられた. また, 7/10例が脳室内出血, 4例が急性腎不全を合併しており, これらの病態は予後に悪影響をおよぼすと考えられた. 重症新生児仮死に対する脳低温療法は脳保護効果が期待できる治療法であるが, 一方で, 上記の予後不良因子を含むハイリスク症例に対しては脳低温療法導入の中止または管理温度や冷却方法の変更など, 管理方法についても再検討する必要性が示唆された.
  • 郭 鑫, 山田 壮亮, 王 克鏞, 島尻 正平, 笹栗 靖之
    原稿種別: 症例報告
    2010 年32 巻2 号 p. 213-219
    発行日: 2010/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    37歳男性に発生した精巣原発のカルチノイド腫瘍の1症例を経験したので報告する. 徐々に増大する右陰嚢内容の腫大を認め, 精巣腫瘍の診断で右高位精巣摘除術を施行された. 摘出標本の肉眼的所見では淡黄色の境界明瞭な充実性分葉状腫瘍で, 精巣内に限局していた. 組織学的には主に島状・分葉状に増殖し, 部分的にコード状・リボン状の領域を伴っていた. 検索した範囲内では, 奇形腫の合併は認められなかった. 腫瘍細胞は銀親和性を示し, 免疫組織化学的には神経内分泌マーカーおよび消化管ホルモンに陽性であった. 以上より, 精巣カルチノイドと診断した.
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