2012 年 34 巻 3 号 p. 225-229
遠心性環状紅斑は隆起性の紅斑や蕁麻疹様丘疹が遠心性に周囲へ拡大し,輪状ないし環状の形態を呈する.しばしば内臓悪性腫瘍に関連して発症することがあり,また真菌,細菌,ウイルス感染も遠心性環状紅斑の誘因になるとされている.症例は35歳の男性で,1週間前より体幹部(皮膚分節Th8-10)に疼痛を伴う水疱を自覚していた.それに付随して,体幹部には複数の環状紅斑も出現していた.前者の皮疹を帯状疱疹,後者を遠心性環状紅斑と診断した.環状紅斑の病変部よりDNAを抽出するも,水痘帯状疱疹ウイルスのDNAは検出されなかった.したがってこの環状紅斑は,ウイルス感染に伴う局所の免疫変調によって起こったWolfʼs isotopic responseであると考えた.以上のように,自験例および文献的考察から遠心性環状紅斑と帯状疱疹の強い因果関係が示唆された.