Journal of UOEH
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[総説]
多環芳香族炭化水素誘導体が示す毒性作用
戸次 加奈江鳥羽 陽唐 寧亀田 貴之早川 和一
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2013 年 35 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

多環芳香族炭化水素類(PAHs)は大気粉塵などの多種類の環境汚染物質に含まれ,長年の研究によって多様な生体影響を引き起こすことが知られている.一方で,PAHsは生体内での代謝反応や,大気中での化学反応によって多種多様な誘導体を生成することが知られている.近年では,PAHだけでなくPAH誘導体の毒性影響が着目されており,エストロゲン様/抗エストロゲン作用,酸化ストレス反応など,PAHとは異なる誘導体独自の毒性影響の存在が報告されている.また,生成するPAH誘導体には多くの構造異性体が存在するが,PAH誘導体が示す毒性作用と構造との間に相関性,いわゆる構造活性相関があることが示されている.以上の研究は,環境中に存在するPAH 誘導体の生体影響を解明する上で重要な研究であるとともに,多種多様なPAH誘導体の総合的な毒性影響予測に貢献できると考えられる.

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© 2013 産業医科大学
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