2013 年 35 巻 Special_Issue 号 p. 107-111
がんは,日本における死亡原因の1位(約1/3)を占めている.そのうちで職業に起因する要因は数パーセントとみられている.しかし,特定の業種で働く労働者にとっては,高濃度で長時間の曝露を受けていることから,発がん要因として大きなものとなる.職業がんの低減を考える上でこれまでの経験から学ぶことは多い.職業がんのこれまでの経緯を振り返ると共に,職業がん低減の取り組みの1つとして,比較的初期の生体影響マーカーとして8-ヒドロキシデオキシグアノシン, DNA付加体に加えてエピジェネティック発がんの新たなマーカーとしてシトシン5位のメチル化の応用に期待が持たれる.