Journal of UOEH
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[報告]
北九州市における子宮頸がん検診の現状と今後の展望
松浦 祐介岡 ハル子山縣 数弘菊池 譲治井上 功大久保 信之土岐 尚之川越 俊典蜂須賀 徹柏村 正道
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2014 年 36 巻 3 号 p. 205-215

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抄録

子宮頸癌は日本においてもっとも頻度の高い婦人科悪性腫瘍である.細胞診による子宮頸がん検診はその有効性を証明する十分な証拠があるにもかかわらず,日本の子宮頸がん検診受診率は約20%であり,他の先進諸国と比較して格段に低い.2001年度の北九州市の子宮頸がん検診受診者数は15,501人(受診率は6.8%)と全国平均の半分以下であった.厚生労働省は女性特有のがん検診事業の一環として2009年度から20,25,30,35,40歳の女性に対して「がん検診無料クーポン」を配布した.すると2012年度には北九州市の検診受診者数は31,970人(受診率は22.3%)と倍増し,ほぼ全国レベルまで到達してきた.子宮頸癌の発生にはハイリスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)が関与していることが明らかであり,HPVはおもに性行為によって感染する.近年,若年者を中心に子宮頸部初期病変・子宮頸癌が増加しており,2008年には異常細胞診症例(要精検者)を2.3%に認めた.子宮頸がん検診受診率向上のためには,費用対効果を考慮した効果的な検診システムの確立も重要である.子宮頸癌による死亡率を減らすためには国・地方自治体・医療機関・企業・教育の現場などが現状を正確に把握し,積極的に子宮頸がん検診受診率向上の課題に対して取り組むことが必要である.

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© 2014 産業医科大学
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