2015 年 37 巻 1 号 p. 1-10
今回の研究の目的は,製造業の交代勤務者の中で交代勤務障害と寝付きと関連する環境や身体要因を,調査することである.全556名の男性労働者が,年齢や交代勤務経験年数, ライフスタイル,家族構成,エプワース眠気尺度(ESS),ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI),朝型夜型質問紙,入眠感影響要因調査に関する自記式質問紙に回答した.我々は交代勤務障害の有無で分類し,各調査項目を比較した.交代勤務障害と診断されたのは,交代勤務者のうち208名(62.8%)だった.ESS点数とPSQI点数の平均値および入眠感影響要因点数の平均値は,交代勤務障害の有る労働者の方が交代勤務障害の無い労働者よりも有意に高くなっていた.ロジスティック回帰分析では,ESS点数と入眠感影響要因点数が交代勤務障害とポジティブに関連していた.我々は製造業における交代勤務障害の耐性に,入眠感影響要因が関係している可能性を示唆した.