Journal of UOEH
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37 巻, 3 号
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[報告]
  • アカングベ ジョーンズ アデボーラ, コモラフェ ソラ エマヌエル, オデュワイエ ムイワ オラリンデ
    2015 年37 巻3 号 p. 169-175
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    ナイジェリアのクワラ州において,作業の危険性の農業従事者の生産性へおよぼす影響について自覚的評価に基づいて調べた.多段階無作為抽出法を用いて全160名の回答者を選別した.実証分析のためのピアソンの積率相関係数解析と共に頻度や割合などの記述的統計手法を用いて分析を行った.調査の結果,共通の農業生産物はトウモロコシ,ヤムイモ,キャッサバであった.また,共通して多い作業上の危険は農具による切傷/傷害,蚊刺しに起因するマラリア,および全身性疼痛であり,農具による傷害および全身性疼痛が農業生産性に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった.農業従事者の社会-経済学的特徴と自覚されている農業生産性への作業の危険性の影響との間には,ピアソンの積率相関係数を用いた解析においては有意な相関は認められなかった.これらの結果にもとづき,作業(農業)における危険,とくに全身性の疼痛が,農業生産性に負の効果をもたらすと結論する.この研究からは,政府と関係機関が農業従事者に保護具の使用法を訓練する普及員を通して保護具を安価で提供し,農業労働者に保護具の使用を督励することが推奨され,農業従事者自身が良好な健康状態を維持するための健康管理について教育を行うことが公衆衛生関係者には求められる.
[症例報告]
  • 野口 真吾, 矢寺 和博, 山崎 啓, 川波 敏則, 高橋 徹, 島袋 活子, 赤田 憲太朗, 石本 裕士, 藤井 崇史, 吉井 千春, 迎 ...
    2015 年37 巻3 号 p. 177-183
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    われわれは,骨髄移植7年後に,胸部CTにおいてハローサインを伴う多発結節を認め,急性増悪をきたした,肺mycobacterium avium complex(MAC)感染症の1例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.湿性咳嗽と呼吸困難を主訴に当院を受診した.既往として,急性骨髄性白血病に対して同種骨髄移植が施行され,プレドニゾロン(2 mg/day),シクロスポリン(30 mg/day)内服にて通院加療されていた.受診時の胸部CTでは明らかな異常陰影を認めなかったが,入院3週間後のCTにてハローサインを伴う多発結節影を認めた.画像所見より真菌感染症が疑われたが,気管支鏡検査の結果,肺MAC症との診断に至った.本症例は急速な進行と非典型的な画像所見を示したことより,臨床経過や画像所見がMAC症に非典型的であっても,骨髄移植後,または,免疫抑制剤使用後の患者では鑑別疾患の一つとして本疾患を考慮する必要があると考えられた.
  • 藤谷 晃亮, 善家 雄吉, 篠根 理孝, 目貫 邦隆, 福本 恵三, 酒井 昭典
    2015 年37 巻3 号 p. 185-190
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    陰圧閉鎖療法negative pressure wound therapy(NPWT)は皮膚欠損創の治療に有効性が確立されている.しかし,エアリークが容易に生じるため手外科分野において応用が難しい.今回手術用手袋を併用しNPWTを手部に用いて治療を行った2症例を経験したので報告する.症例1:37歳男性,人を殴って右手背部を受傷し,受傷より3日目に創部の疼痛・腫脹のため当科を初診した.同日手背部創感染と診断し,局所麻酔下に洗浄・デブリドマンを行い,抗菌薬点滴を開始したが感染状態は改善せず,術後8日目に創を開放し,洗浄・デブリドマンを連日行うことで感染は鎮静化した.術後15日目に手背部開放創の管理目的にNPWTと手術用手袋を併用した.徐々に創内部より良好な肉芽形成が得られたため,術後29日目に局所転位皮弁に加えて全層植皮術を行い創閉鎖した.症例2:43歳男性,作業中にグリースを左手背部に誤って注入して受傷した.受傷翌日に当科を受診し,同日洗浄・デブリドマンを施行した.術後2日目に再手術を行い,閉鎖が出来ない創に対して人工真皮でカバーした上,NPWTと手術用手袋を併用した.徐々に創内部より良好な肉芽形成が得られ腫脹も軽減してきたため,術後9日目に腓腹神経からの神経移植術とともに創閉鎖,全層植皮術を行った.手背部軟部組織欠損に対する創管理において,NPWTと手術用手袋を併用し早期リハビリを行った結果,良好な創閉鎖と手指機能回復を得た.
[報告]
  • 岡 壮一, 松宮 弘喜, 篠原 周一, 桑田 泰治, 竹中 賢, 近石 泰弘, 平井 文子, 田嶋 裕子, 今西 直子, 永田 好香, 黒田 ...
    2015 年37 巻3 号 p. 191-194
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    心嚢内血管処理は,呼吸器外科医にとって習得すべき技術である.心嚢内血管処理を要した肺癌症例の適応と安全性および手術手技について考察した.2011年1月~2013年6月までの30ヶ月間に産業医科大学第2外科学教室が行った,肺癌手術症例413例中,心嚢内血管処理を要した23例(5.6%)を対象とした.肺癌病期は,ⅠA期:1例,ⅠB期:4例,ⅡB期:5例,ⅢA期:11例,ⅢB期:1例,Ⅳ期:1例.術式は,葉切除:11例,二葉切除:6例,全摘:6例.手術時間は平均366分であった.心嚢内血管処理を要した理由は,20例が肺門近傍の腫瘍であり,残肺全摘を施行した3例は,高度癒着で肺門に到達できなかったため,心嚢内血管処理を施行した.術後合併症は遅延性肺瘻を2例,術後心房性頻脈を3例認めたが保存的に改善した.手術関連の死亡はなく,全例軽快退院した.心嚢内血管処理は,心嚢内の構造を正確に理解し実践すれば,安全に行う事ができると思われる.
[総説]
  • 西村 陽介
    2015 年37 巻3 号 p. 195-202
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    心臓弁膜症に対する外科治療は人工弁による弁置換術が主流であった.しかし,人工弁置換術を行えば,血栓塞栓症・出血・人工弁感染・人工弁劣化などの人工弁関連合併症は不可避となる.それに対して弁形成術はこれらの合併症が回避できるのみならず,内服薬も不要となり,健康人同様のQuality of Lifeを得ることも可能である.弁形成術は腱索再建術などより複雑な手技を要することや,逆流の残存や再発・増悪などの問題点もあるが,僧帽弁逸脱による僧帽弁閉鎖不全症は形成術のよい適応である.現在行われている手術術式としては人工弁輪による弁輪形成術を基本術式として,後尖逸脱に対しては矩形切除術・三角切除術などの弁尖切除術,収縮期前方運動(systolic anterior movement: SAM)予防のためのスライディング法などが,また前尖逸脱に対しては弁尖切除や腱索短縮術,後尖腱索の移動術などが行われていたが,近年ではePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)糸を用いた人工腱索による腱索再建術が多く行われている.僧帽弁逸脱症に対する弁形成術の遠隔成績は人工弁置換術との比較検討にてその優位性が報告されており,再手術の頻度も弁置換術と変わらず10年で7-10%と良好である.
  • 五十嵐 侑, 森 晃爾
    2015 年37 巻3 号 p. 203-216
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    自然災害や工場事故,犯罪などの災害事象がときに職場で発生しており,多くの労働者はそれらの事象への対応によって,直接の被災だけではなく,悲惨な経験や化学物質など,さまざまな健康障害要因に曝露する可能性がある.このような要因による健康影響を最小限にするためには,産業保健専門職は迅速かつ的確な対応を行う必要があるが,それを可能とするためには過去の事例の経験を参考にすることが有効と考えられるため,災害事象による労働者の健康影響に関する文献上の知見を整理した.PubMedを用いて検索し,24編の文献が抽出された.文献抽出には,一般的な労働者に対象を絞り,救急隊や消防隊などの専門職は除外した結果の対象文献を健康影響別に整理すると,メンタルヘルス13編,呼吸器系5編,心血管系2編,筋骨格系1編,皮膚系1編,神経系1編,全身症状1編であり,災害事象の発生数が公表されている論文は極めて少ない.これらの健康影響を原因の所在などで分類すると,原因が,1.災害事象によって発生した労働環境や生活環境の悪化と関連したもの,2.災害事象によって発生した健康障害要因と直接関連したものに分けられる.過去の事例の経験をまとめた本総説は,災害事象発生時の産業保健専門職の対応を向上させる上で有意義と考えられる.また,今後も災害事象による労働者への健康影響についての知見の蓄積が求められる.
[報告]
  • 村上 美紀, 小畑 泰子, 大和 浩, 近藤 寛之
    2015 年37 巻3 号 p. 217-222
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    産業保健現場では視機能が労働能力に影響する.就労年齢で緑内障に罹患した人の中で視覚喪失の頻度や程度について調査し,また,眼球運動訓練などのロービジョンケアや就労上の配慮を行った者について調査した.平成24年10月からの平成25年9月までの1年間に医療法人むらかみ眼科医院を受診した15歳から64歳までの3,905人のうち,緑内障疑いの患者363人,緑内障と診断かつ治療開始された患者138人であった.緑内障患者に,視力,視野検査を施行し,FVS(functional vision score)を計算した.機能的視覚の低下が認められた患者数,ロービジョンケアを施行した患者数を年齢別に調査し,比較検討した.視力検査,視野検査の結果FVSにて機能的視覚の低下が認められ,FVSクラス分類でclass 1(軽度視覚喪失),からclass 3(a 重度視覚喪失)となった患者数は18人であった.FVSはWHOの統計と相関しclassごとに読書能力や歩行能力について予想ができる.今回の調査では45歳以上の緑内障患者の約14%に機能的視覚の低下が認められた.その78%はclass 1であった.FVSではclass 2(中等度視覚喪失)以上がロービジョンと定義され,class 1は正常の視機能に近いが予備能のない状態で日常生活や事務作業には問題がないが,現業では作業内容や環境によって課題を抱え,環境整備や適正配置などのため産業保健職の介入が必要となると思われる.
  • 辻 慶子, 高野 泰臣, 山川 広人, 金子 大輔, 鷹居 樹八子, 児玉 裕美, 萩原 智子, 小松川 浩
    2015 年37 巻3 号 p. 223-229
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    看護過程の学習は,知識を修得して,その知識を活用することが重要であり,難易度の高い学習である.そこで,知識を修得して,その知識を活用するための知識の共有を一元的に行える作問機能システムを用いて看護過程の学習の理解度を深めることを試みた.本システムは,問題文作成・解答欄作成・ヒント作成・確認の計4つのステップ形式で,看護過程に関連した問題を学生が作成する学習システムである.A大学看護学科2年生の看護過程の授業において,作問機能システムを取り入れ作問学習を試みた.その効果を作問数・学習段階に一致した作問内容と定期試験の成績およびレポート点数との関連を検討した結果,1. 作問数とレポート点数に弱い相関がみられた( r = 0.27).2. 作問の内容が学習段階に一致した学生と一致しなかった学生は,定期試験の点数ならびにレポート点数に有意に差が見られた(P < 0.05).以上より,看護過程の学習段階における作問が知識の定着と活用に有効であることが示唆された.
  • 大隣 辰哉, 大田 慎三, 関原 嘉信, 西原 伸治, 大田 泰正, 佐藤 倫由, 田中 朗雄
    2015 年37 巻3 号 p. 231-242
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/09/12
    ジャーナル フリー
    脳脊髄液漏出症は特発性または時に外傷性に発症し,起立性頭痛や誘因のない慢性硬膜下血腫(CSDH)の原因となる稀な疾患である.我々はこの連続20例の治療経験があり,この疾患の現状と問題点も含め報告する.2006年4月から2014年3月までにCTミエログラフィー(CTM)または脊髄MRIで硬膜外髄液漏出を確認した連続20例(女性11例,年齢44.7±12.1歳,22-65歳)の臨床的特徴を後ろ向きに調査した.症状は,起立性頭痛のみが10例,起立性頭痛にCSDH合併が6例,体位と無関係の頭痛にCSDH合併が4例であった.治療は,2例で直達術での縫合またはフィブリン糊による瘻孔閉鎖を施行した.14例で硬膜外自己血パッチ(EBP)を施行(うち1例は上記直達術),後半9例は血管内カテーテルを用いた腰椎からの単回アプローチでの広範囲EBPを施行した.穿頭血腫ドレナージ施行の1例を含む残る5例は,輸液のみで治療した.症状が頭痛のみの10例中9例は,この消失または軽減が得られた.CSDHを合併した10例は,1例で穿頭血腫ドレナージ後に輸液のみで治療,9例でドレナージ後にEBPを施行して全例再発を抑制できた.脳脊髄液漏出症はいまだ病態が不明だが,CTMおよび脊髄MRIにて的確に診断し,点滴加療が無効,起立性頭痛が高度またはCSDHを繰り返す症例には,血管内カテーテルを用いた広範囲EBPでほぼ治癒可能とわかった.
[プログラム]
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