抄録
看護過程の学習は,知識を修得して,その知識を活用することが重要であり,難易度の高い学習である.そこで,知識を修得して,その知識を活用するための知識の共有を一元的に行える作問機能システムを用いて看護過程の学習の理解度を深めることを試みた.本システムは,問題文作成・解答欄作成・ヒント作成・確認の計4つのステップ形式で,看護過程に関連した問題を学生が作成する学習システムである.A大学看護学科2年生の看護過程の授業において,作問機能システムを取り入れ作問学習を試みた.その効果を作問数・学習段階に一致した作問内容と定期試験の成績およびレポート点数との関連を検討した結果,1. 作問数とレポート点数に弱い相関がみられた( r = 0.27).2. 作問の内容が学習段階に一致した学生と一致しなかった学生は,定期試験の点数ならびにレポート点数に有意に差が見られた(P < 0.05).以上より,看護過程の学習段階における作問が知識の定着と活用に有効であることが示唆された.