抄録
産業医科大学産業保健学部看護学科は2012年度入学生よりカリキュラム改正を行い,新たに統合分野を設置した.臨床実践力の向上と知識・技術の統合をはかるため,統合科目として3年次前学期に総合技術演習Ⅰ(1 単位15時間)を,4年次後学期に総合技術演習Ⅱ(1単位30時間)を新設し,シミュレーション教育を導入した.本稿では看護におけるシミュレーション教育,ならびに2014年に実施した左片麻痺患者の車椅子移乗と環境整備の演習展開と教授法を述べる.シミュレーション教育を導入した結果,今後の実習に役立つなどの肯定的意見が多く聞かれた.一方で練習時間がないことや実習室の確保が困難など,今後の課題も見出された.