2015 年 37 巻 4 号 p. 313-318
労働災害による難治性手外科外傷症例をもとに,労働者の外傷予防に関心のある多分野の専門家を7名集め,「上肢外傷を防止するために実施すべき取り組み」のテーマで各人がアイディアを書き出し,得られた内容をカテゴリーごとに分類し,スクリプト化して項目を整理した(KJ法)の結果,重篤な手外科外傷が起きないための11のポイントが整理された.1 安全な機械の購入,2 要注意機械のリスト作成,3 作業機械の回転部に囲いをつける,4 機械の定期的なメンテナンス,5 危険箇所が目立つ表示,6 回転部を明るくし周りに物を置かない,7 インパクトのある安全教育の計画的な実施,8 体調管理,9 安全衛生方針の表明,10 作業手順の見直し,11 事故発生時に備える.今後の職場改善マニュアル作成には,本研究の結果を踏まえた視点が重要である.