Journal of UOEH
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人間と科学
医科学とその歴史
Chandler McC. BROOKS
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1982 年 4 巻 1 号 p. 103-119

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抄録

医科学の歴史においては,発見と進歩の歴史ばかりでなく, 知識の保存と伝播の歴史も大切である. 古代ギリシャ・ローマ時代にヒポクラテス, アリストテレス, ガレノスらによって大成された古典医学の体系は, 中世にはビザンチン帝国に温存され, 一部はネストリウス派の僧侶によって東方に伝えられてアラビア医学のもととなり, やがて西洋に逆輸入されて近世医科学の出発点となった. 15・6世紀の西洋文明は中国, 日本に相次いで渡来した. 中国ではイエズス会の修道士らが伝道の手段として科学知識・技術を利用したが明・清王朝の保守性のために発達を妨げられた. 日本では戦国末期のザビエル渡来にはじまり, 鎖国の中断はあっても西洋医科学の吸収が続けられ, 今日の高いレベルに到達した. 中国と日本における西洋医科学の受け入れ方のちがいの一因は, 日本人の旺盛な知識欲にあるのではなかろうか.

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© 1982 産業医科大学
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