Journal of UOEH
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4 巻, 1 号
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  • 大熊 千代子, 北沢 右三
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    北九州市の人為による生態系の破壊と再生の系列に沿って, 産業医科大学構内の新造成地, 芝生, 植込, 湿地, 二次林の5種の生態系型とふきんのシイの自然林生態系について, 人間影響とクモ類相の変化を, 各生態系型について大熊がそれぞれ2時間採集した結果により比較研究した. 科と種の数で示されるクモ類群集の多様性は自然林で最も高く, 二次林がこれにつぎ新造成地の裸地, 芝生が最低であった. クモ類の個体数は森林に多く新造成地の芝生, 植込, 裸地でははるかにすくなかった. 大型の造網性種の全種中で占める比率は森林, 植込, 湿原で大きく芝生や裸地では殆どゼロに近いが, 一方に地上徘徊性種が占める比率は森林で小さく湿原, 芝生, 裸地で大きかった.
  • 塩谷 眞子, 山下 優毅, 栗本 晋二
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    白内障患者の術前と術後に, レンズ蛋白を使って, リンパ球幼弱化試験を行い, 免疫応答の変化を検討した. これを術式により, 嚢内摘出術グループと嚢外摘出術グループに分けて比較してみると, 嚢内摘出術をうけた患者は, 術後, 全例が免疫応答の低下を示し, 嚢外摘出術をうけた患者は, 術後, 多様な変化を示した(2名が低下, 4名が上昇). 両手術法の間における, 患者の免疫応答に有意の差がみとめられたことより, レンズ蛋白が, 眼内にとりのこされる可能性のある嚢外摘出術患者においては, 手術侵襲による炎症の存在と前房内のレンズ蛋白の存在とにより, 免疫反応がひきおこされる可能性のあることが示唆された.
  • 白木 啓三, 今田 育秀, 佐川 寿栄子, 中山 英明
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 1 号 p. 21-32
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    3人の科学者を含め5人の健康男子が被験者となり高気圧室を利用して4日間4気圧ヘリウム環境にて生活した. この間湿度をほぼ一定(rh=60%)に保ち室温28℃-34℃まで変化させ, 各室温にて定常状態を保たせて分割熱測定法により, 安静時の生体の熱出納を測定した. 基礎代謝量は4気圧にて約10%増加したが安静時産熱量は一気圧空気中のそれと差がなかった. 高気圧環境では体熱放散様式のうち対流によるものが著しく増加し反面蒸発および輻射性放散が減少した. 一定室温で比較すると高気圧では皮膚温は有意に低下したが深部体温(直腸温)の低下はわずかであった. また高気圧環境では皮膚血流量が低下し中核から被殼への体温の移動が妨げられていることが判明した. 4気圧ヘリウム環境では安静時の快適温度は32℃附近であった. 高気圧で一時的に尿量増加をみたが, 尿量は気圧依存性ではなくむしろ平均皮膚温との間に高い相関があることが見出された.
  • ―10才代女子の局所振動負荷および冷水浸漬による手の機能の変化―
    鈴木 勝己, 伊地知 正光, 小林 靖幸, 松木 孝行, 伊藤 謙三, 鴨川 盛秀, 松下 隆, 関 昭夫, 田中 宏道, 河村 憲一, 門 ...
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    20℃, 湿度50%の人工気象室内で, 9名の10才代, 健康女子を対象として, 基礎的実験を行った. 手の機能の指標としては, 指皮温, 振動覚, ピンチカを用い, 手の負荷テストとしては, 10℃冷水浸漬, 32Hzおよび125Hzの局所振動負荷を行って, その前後の指標の変動を測定記録した. 成人男子の場合とやや異なり, 手の機能の指標としては, 125Hz振動覚が, 最も鋭敏に変化した. また, 負荷テストとしては, やはり苛酷ではあるが, 冷水浸漬テストが最も効果的であった.
  • 曲谷 一成, 吉岡 真
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    8チャンネル・デ一タレコーダを用いて16チャンネルの医用データを記録することの出来るデータレコーダ用エンコーダおよびデコーダを開発した. このエンコーダおよびデコーダを用いた場合, DC-2,500Hz程度の周波数特性を有するデータレコーダの1チャンネルに対して, DC-350Hzまでの周波数帯域を有する医用データを2チャンネル分, 記録再生することが可能である.
  • 第20回 国際労働衛生学会 招待講演
    土屋 健三郎
    原稿種別: 総説
    1982 年 4 巻 1 号 p. 51-63
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本論文は日本における産業医活動, 特に嘱託産業医活動の特徴を紹介し, 医師会における生涯教育の内容に触れ, 更に将来の産業保健についての提案を行った総説論文である. 我が国における嘱託産業医の組織並びに活動は, 日本医師会のリーダーシップのもとに, 総括地域医療の一端として行われているところに特徴があり, 他のアジア諸国においても参考となる幾つかの側面を有している. 特に最近では県医師会並びに市医師会における生涯教育, 産業保健の地域レベルでの組織には注目すべきものがある. 20年後の社会環境の変化に適応した産業保健については, いわゆるポストインダストリアルソサエティの社会環境に適した体制が必要であり, この為に本論文においては「産業生態科学」という, ある意味での総合科学を提唱し, その研究を基本に産業医学の生涯教育が行われるべきであると述べている.
  • 松隈 秀峻, 土山 秀夫, 河合 紀生子, 中野 正心, 安達 博信, 実藤 隼人, 馬場 謙介, 小出 紀
    原稿種別: 症例報告
    1982 年 4 巻 1 号 p. 65-80
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    造船所でボイラー製造に従事し, 27年間, 石綿粉塵を吸入していた65才男性に見られた肺石綿症合併の瀰漫性胸膜中皮腫剖検例を報告した. 腫瘍は, 右胸膜に原発し, 両側腎臓, 右副腎, 傍胃リンパ節などに転移し, 末期には, 上大静脈症候群をきたして, 発症13ケ月後に, 突然死した. 組織学的には二相性で線維肉腫様の紡錘型細胞を混じえ, またこれらと種々の程度に移行する腺管状, 乳頭状増殖を示していた. 電顕的には紡錘型細胞にも, 上皮的性格を示すものが見られた.日本剖検輯報によると過去5年間(1974-1978年)の全剖検例126,535例中, 124例(0.097%)が中皮腫で死亡しており, 部位別には, 胸膜83例, 腹膜27例, 心嚢12例, 腸間膜1例, 小腸漿膜1例であった. これらは, いずれも石綿症を伴っていなかった. 一方, 同期間中の肺石綿症剖検例は7例で, そのうち3例に肺癌, 1例に喉頭癌を合併していた. 文献的には本邦における石綿症合併の中皮腫は4例に過ぎなかった.
  • 田岡 賢雄, 松島 敏夫, 尾関 恒雄, 膳所 富士男, 栗田 幸男
    原稿種別: 症例報告
    1982 年 4 巻 1 号 p. 81-91
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    われわれは膵島山来と思われるホルモン産生腫瘍のー例を経験した. 本例は79才の男子で吐・下血を主訴として緊急入院, 内視鏡により胃角後壁に2ヶ, 前庭部小彎に1ヶのU1-III多発性潰瘍を認めた. 血中ガストリン値は705.5pg/mlと高値で最初Zollinger-Ellison症候群を疑ったが, 胃液検査ではBAO 1.77mEq/hr, MAO17.64mEq/hrと正常であり本症候群は否定した. 一方, 血中の各種ホルモンを測定したところインスリン, グルカゴン, ACTH, PTHなどがいずれも高値を示し多発性内分泌腫瘍の疑いが強くなった. 入院後施行したセクレチン負荷試験は陽性を示しガストリノーマの存在を考えたが, 再度同試験を実施したところ次回には陰性となった. 入院後3カ月頃, 5年前胆のう炎の診断で施行された胆剔後手術はん痕部に栂指頭大の腫瘤が突出し, 外科にて腫瘤を摘出, 組織学的に未分化なislet cell carcinomaであることが確認された. 患者はその後肺・肝など他臓器に転移を生じ, 腫瘍による肝門部胆管への圧迫のためと思われる閉塞性黄疸も次第に高度となり, さらに大量の吐血を生じて第166病日に死亡した. 剖検による診断は膵頭部に発生したラ氏島腫瘍で組織学的には未分化腺癌であり, 肺・肝・左副腎・横行結腸部腸間膜ならびに原発巣周囲と大動脈周囲後腹膜にリンパ節転移を認めたが, 副甲状腺には全く変化はみられなかった. さらに本例では右肺上葉B3領域に浸潤型高分化扁平上皮癌の合併がみられ多重癌であることが判明した. 本例は剖検材料による数カ所の腫瘍組織からグルカゴン・セクレチン・ソマトスタチンなどが検出されており, 膵島由来の多種ホルモン産生腫瘍であると考えられた.
  • 技術社会における人間の良き生活探究に果たす役割
    大石 真一(Ralph J.WILLIAMS)
    原稿種別: ヒューマニクス
    1982 年 4 巻 1 号 p. 93-102
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    人間の第1の希望は幸福である. 幸福を見出すためには, 肉体的および精神的に必要なものを満たし, 個人の才能を発揮するのに十分な時間のある社会に住む事が必要である. 現在の技術社会においては, 人間は非常に早いペースで生活しなければならないので, 私達の視野は自分の専門のために必要な社会の部分と個人の才能だけに集中するという危険な結果になる. この危険な状態に陥らないためには, 私達はどのような市民と個人になることができるかについて省察する時間を作らなければならない. 以上の目的を達成するのに色々な方法があるが, このエッセイにおいては小説家の役割に焦点をしぼり, 良い小説を読む事によって, 社会を発展させるだけでなく, 個人として成長発展する方法をも見出そうとつとめた. ユートピア小説2冊を論じ, 理想的な社会について読んだり考えたりする事によって, 読んだ事を自分が住んでいる社会にどのように当てはめる事ができるかを明らかにしようとした. グレアム・グリーンの小説"THE HUMAN FACTOR"を使用する事によって, 私は小説家が私達の才能をいかにして全人間的なものとして働かせるのを助けるかを説明した.
  • 医科学とその歴史
    Chandler McC. BROOKS
    原稿種別: 人間学 / 招請論文
    1982 年 4 巻 1 号 p. 103-119
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    医科学の歴史においては,発見と進歩の歴史ばかりでなく, 知識の保存と伝播の歴史も大切である. 古代ギリシャ・ローマ時代にヒポクラテス, アリストテレス, ガレノスらによって大成された古典医学の体系は, 中世にはビザンチン帝国に温存され, 一部はネストリウス派の僧侶によって東方に伝えられてアラビア医学のもととなり, やがて西洋に逆輸入されて近世医科学の出発点となった. 15・6世紀の西洋文明は中国, 日本に相次いで渡来した. 中国ではイエズス会の修道士らが伝道の手段として科学知識・技術を利用したが明・清王朝の保守性のために発達を妨げられた. 日本では戦国末期のザビエル渡来にはじまり, 鎖国の中断はあっても西洋医科学の吸収が続けられ, 今日の高いレベルに到達した. 中国と日本における西洋医科学の受け入れ方のちがいの一因は, 日本人の旺盛な知識欲にあるのではなかろうか.
  • 中野 信子
    原稿種別: 報告
    1982 年 4 巻 1 号 p. 121-125
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 古賀 洋介
    原稿種別: 報告
    1982 年 4 巻 1 号 p. 127-132
    発行日: 1982/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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