Journal of UOEH
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Continuous Glucose Monitoring(CGM)を用いた2型糖尿病患者の糖尿病細小血管合併症と血糖変動との関連
園田 里美岡田 洋右森 博子上村 芙美須貝 慧元 舞子田中 健一黒住 旭成澤 学鳥本 桂一田中 良哉
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2018 年 40 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

入院中の2型糖尿病患者でcontinuous glucose monitoring (CGM) による血糖変動および平均血糖と各種細小血管合併症との関連について検討した.CGMデータより平均血糖,血糖180 mg/dl以上の時間の割合 (Time at >180),血糖変動 (SD: standard deviation) を測定し,平均血糖幅 (MAGE: mean amplitude of glycemic excursions) を算出し,細小血管合併症は入院時の身体所見と検査所見で評価した.SDとMAGEは,細小血管合併症の存在や合併数と関連せず,下肢振動覚低下,coefficient of variation of the R-R interval (CVR-R),網膜症の病期,腎症の病期,尿中微量アルブミンのいずれとも関連していなかった.しかし,平均血糖は網膜症の有無および病期,細小血管合併症の合併数と相関していた.さらに,高血糖の持続時間を示すTime at >180は下肢振動覚低下,網膜症の有無および病期と相関していた.平均血糖やTime at >180は腎症の有無および病期と関連していなかった.本研究の結果からは,血糖変動が大きいという指標が多彩な細小血管合併症と関連することはなく,平均血糖が高く高血糖持続時間が長いほど,細小血管合併症を合併することが示唆された.やはり,細小血管合併症の発症・進展の予防のためには,従来から報告されている通り,平均血糖・高血糖持続時間を小さくする治療が重要である.

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© 2018 産業医科大学
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