Journal of UOEH
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40 巻 , 1 号
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  • 黒住 旭, 岡田 洋右, 須貝 彗, 鳥本 桂一, 田中 良哉
    原稿種別: 原著
    2018 年 40 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー

    今回我々は,日本人2型糖尿病患者において,半減期の異なるdipeptidyl peptidase 4 (DPP4) 阻害薬であるテネリグリプチンとシタグリプチンによる血糖変動とglucagon like peptide-1 (GLP-1) 分泌に対する効果に関して検討した.14名の薬剤未使用2型糖尿病患者をテネリグリプチン20 mg先行群 (7名) もしくはシタグリプチン50 mg 先行群 (7名) へ無作為に割り付けクロスオーバーで7日間ずつ内服した.食事負荷試験は夕食時に薬剤なし,それぞれのDPP4阻害薬内服下で施行した.各薬剤の血糖変動に対する効果は,continuous glucose monitoring (CGM) を用いて評価した.主要評価項目である夕食後最大血糖値は2群間で有意差は認めなかった.副次評価項目である夕食後18:00-24:00における血糖値140 mg/dl以上のarea under the curv (eAUC) は2群間で有意差は認めなかったが,夕食後20:00-24:00における血糖値140 mg/dl以上のAUCはテネリグリプチンの方が有意にコントロール良好であった (P = 0.048).また食事負荷30分後のGLP-1はテネリグリプチンの方が有意に高値であった (P = 0.030).数例で無症候性の低血糖を認めたが,両薬剤とも重大な有害事象は認めなかった.1日1回内服のテネリグリプチンは,食事負荷試験において20:00-24:00における血糖値140 mg/dl以上のAUCを改善させ,活性型GLP-1を増加することが明らかとなった.

  • 園田 里美, 岡田 洋右, 森 博子, 上村 芙美, 須貝 慧, 元 舞子, 田中 健一, 黒住 旭, 成澤 学, 鳥本 桂一, 田中 良哉
    原稿種別: 原著
    2018 年 40 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    入院中の2型糖尿病患者でcontinuous glucose monitoring (CGM) による血糖変動および平均血糖と各種細小血管合併症との関連について検討した.CGMデータより平均血糖,血糖180 mg/dl以上の時間の割合 (Time at >180),血糖変動 (SD: standard deviation) を測定し,平均血糖幅 (MAGE: mean amplitude of glycemic excursions) を算出し,細小血管合併症は入院時の身体所見と検査所見で評価した.SDとMAGEは,細小血管合併症の存在や合併数と関連せず,下肢振動覚低下,coefficient of variation of the R-R interval (CVR-R),網膜症の病期,腎症の病期,尿中微量アルブミンのいずれとも関連していなかった.しかし,平均血糖は網膜症の有無および病期,細小血管合併症の合併数と相関していた.さらに,高血糖の持続時間を示すTime at >180は下肢振動覚低下,網膜症の有無および病期と相関していた.平均血糖やTime at >180は腎症の有無および病期と関連していなかった.本研究の結果からは,血糖変動が大きいという指標が多彩な細小血管合併症と関連することはなく,平均血糖が高く高血糖持続時間が長いほど,細小血管合併症を合併することが示唆された.やはり,細小血管合併症の発症・進展の予防のためには,従来から報告されている通り,平均血糖・高血糖持続時間を小さくする治療が重要である.
  • アミット リトー, ソン ヨンウン
    原稿種別: 原著
    2018 年 40 巻 1 号 p. 19-32
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    体表面積 (BSA) は,人体曝露研究の実施および小児科の臨床において重要なパラメータである.この論文の目的は,7つのBSA算出式を比較し,これらの算出式のどれが韓国の子供に適応性があるかを調べることであった.体表面積は,国民健康栄養調査 (2012-2014) の1歳から18歳までの韓国の子供 (n=4899) の身長と体重のデータを用いて,年齢,年齢群,BMI群別に算出した.このために,Banerjee and Bhattacharya (1961),Fujimoto and Watanabe (1969),US EPA (1985),Gehan and George (1970),Boyd (1935),Haycock (1978) およびMosteller (1987) の算出式が用いられた.7つの算出式の算出値の平均値を計算し,比較のためのノルム値として使用した.すべての推定は,全体の平均BSA値と強い正の相関を示した.Gehan and George (1970),US EPA (1985),Boyd (1935) 式の計算では,過大評価が観察された.Banerjee and Bhattacharya (1961年) とFujimoto and Watanabe (1969年) の値は過小評価を示し,すべての年齢層で0.027 m2の最大誤差を示した.Mosteller (1987) およびHaycock (1978) のBSA推定値は,全体平均BSA値に近いことが判明した (最小誤差0.004 m2).人体曝露研究の実施および韓国の小児科の臨床においてはMosteller (1987) の算出式を使用することが推奨される.1歳から2歳の子供にはHaycock式も適している.
  • 深井 七恵, 平岡 晃, 梶木 繁之, 小林 祐一, タナチョークスワン チャッチャイ, アーポーン サラ, 上原 正道, 中西 成元, 森 ...
    原稿種別: 原著
    2018 年 40 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    日本企業が,タイにおいて,グローバル労働安全衛生マネジメントシステム (OSHMS) を前提とした労働衛生活動を行うために必要な情報を調査した.先行研究で開発した情報収集チェックシートを基盤として,文献などを収集するとともに,現地事業場4社,ISO認証機関1ヶ所,大学などの教育機関2ヶ所を訪問して,タイにおいて労働衛生活動を行うために必要な情報を聴取した.タイにおける労働衛生に関する法令は,2011年に公布された労働安全衛生環境法が基本となり,労働安全衛生環境法の下に13の労働省令が存在する.また,タイ独自のOSHMSの規格 (TIS18000: Thai Industrial Standard) が公表されており,近年,大企業を中心にOSHMSの規格に準拠したシステムを導入する企業が増えている.労働衛生を担う専門職人材として産業衛生専門医,安全衛生専門家 (Professional Safety Officer),産業看護師が養成されているが,事業場の労働衛生で中心となるのは安全衛生専門家である.タイにおいては,労働安全衛生環境法をはじめとした法令を確実に遵守するとともに,事業場の実情にあった自主的活動をOSHMSを基盤に展開することが求められる.しかし,現状として自主管理としてOSHMSの認証を取得している事業場はけっして多くない.また,労働衛生上の成果を上げるために,高い品質の外部サービス機関の選定や専門職人材の活用が不可欠である.日系企業の本社の立場からは,単にグローバル基準を出してその監査を行うだけでなく,安全衛生専門家の積極的活用を勧奨するなどの対応が必要である.
  • 濵砂 良一, 松本 正広, レ ティ ファン, 藤本 直浩, 松本 哲朗
    原稿種別: 原著
    2018 年 40 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    Mycoplasma genitaliumは性感染症である男子尿道炎の原因微生物である.我が国では非淋菌性尿道炎患者の15−25%の尿から検出される.世界的にマクロライド耐性,キノロン耐性M.genitaliumの出現が,尿道炎治療を行う上で問題となっている.しかし,わが国ではM.genitaliumを検出するための保険適用を有する検査キットがない.今回,Seegene社の性感染症関連微生物7種同時検出キット (Anyplex™ II STI-7 Detection; Neisseria gonorrhoeaeChlamydia trachomatisM.genitaliumMycoplasma hominisUreaplasma urealyticumUreaplasma parvumTrichomonas vaginalisを検出) を用いて,M.genitaliumの検出に関する検討を行った.本キットの検出限界を検討するため,保存するM.genitalium 17株を用いた.SP4 mycoplasma mediumで増殖したM.genitalium培養液から,M.genitaliumのDNAを抽出し,M.genitaliumのDNAコピー数を測定した.M.genitaliumのDNA抽出液を101~108倍に希釈した希釈液を作成した.それぞれの希釈液をAnyplex™ II STI-7 Detectionで反応させ,もっとも希釈した液でM.genitaliumが検出されたものを検出限界とした.17株中14株で,希釈限界におけるDNAコピー数は10 genome equivalent (geq) /reaction未満で,3株で10 geq/reaction以上であった.その中でもっとも高いDNAコピー数は48.4 geq/reactionであり,約50 geq/reactionがAnyplex™ II STI-7 Detectionにより保証されるM.genitaliumのDNAコピー数と考えられた.また,保存する尿検体からDNAを抽出し,MgPa geneの一部を増幅させるPCR法とAnyplex™ II STI-7 Detectionとで,M.genitaliumの検出率を比較した.両方法での陽性一致率は96.4% (27/28),陰性一致率は98.6% (71/72) であった.両方法との間に1例ずつの不一致があったものの,陽性,陰性一致率とも高かった.Seegene社の性感染症関連微生物7種同時検出キット,Anyplex™ II STI-7 Detectionを培養液,尿検体の面から検証し,M.genitalium検出に関して有用性が高いことが分かった.
  • 岡田 なぎさ, 中田 光紀, 中野 正博, 酒井 久美子, 鷹居 樹八子, 児玉 裕美, 小林 敏生
    原稿種別: 原著
    2018 年 40 巻 1 号 p. 53-63
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    看護職の主な離職理由として結婚,出産,育児などが報告されているが,これらのライフイベントを経験した妻または母親役割を持つ女性看護師の精神健康度やその関連要因は十分に検討されていない.本研究では,妻または母親役割を持つ看護師の精神健康度と関連要因について,結婚,出産,育児による離職経験の有無別に検討することを目的とした.福岡県内の200床以上の総合病院に勤務する女性看護師763人に質問紙調査を実施し,分析対象の108人について,結婚,出産,育児による離職経験なし群と結婚,出産,育児による離職経験あり群の2群に分けて分析した.質問紙は,属性,日本版The General Health Questionnaire(GHQ)28,Sense of Coherence(SOC)スケール(13項目版),職業性ストレス簡易調査票,看護師の職務満足度の尺度で構成した.結果は,分析対象者全体は一般女性より精神健康度が低く,離職経験がない人は離職経験がある人よりも精神健康度が高い人が多く,SOCの「把握可能感」が高かった.さらにGHQ総得点を目的変数とした重回帰分析の結果,離職なし群は「把握可能感」のみが関連していたのに対し,離職あり群はサポート,仕事や生活の満足度および仕事の「ストレス要因」が関連していた.以上より,妻または母親役割を持つ看護師の精神健康度の維持・向上には,サポートや満足感の向上やストレス要因の低減に加えて,SOCの「把握可能感」の維持・向上が影響することが示された.
  • 鳥本 桂一, 岡田 洋右, 田中 良哉
    原稿種別: 総説
    2018 年 40 巻 1 号 p. 65-75
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    生体の恒常性を維持するために血管内皮機能は重要であり,特に血管内皮細胞で産生されるnitric oxide (NO) は,血管の緊張を制御し,抗動脈硬化作用を担う.2型糖尿病は血管内皮機能障害をきたす代表的な疾患であり,全身のさまざまな血管障害をきたし,全身の臓器が障害される.2型糖尿病に合併する動脈硬化性疾患は血管内皮機能障害からはじまる慢性炎症性病態であり,動脈硬化病変の初期変化として,血管内皮機能障害は重要である.2型糖尿病における血管内皮機能障害は,高血糖やインスリン抵抗性に伴う高インスリン血症,低血糖が要因と考えられており,特に食後高血糖や血糖変動に伴う酸化ストレスの上昇が関与している.また,食後の糖・脂質代謝異常により血管内皮機能障害は引き起こされるため,食後代謝異常の是正も重要である.一方で,glucagon-like peptide-1 (GLP-1) 受容体作動薬,チアゾリジン誘導体やビグアナイド薬,dipeptidyl peptidase-4 (DPP-4) 阻害薬などの糖尿病治療薬には,血糖コントロールに依存しない血管内皮機能保護効果が報告されている.糖尿病患者の健康寿命促進に貢献するためには,単にHbA1cを低下させるだけではなく,食後高血糖や血糖変動,低血糖を避け,病態を考慮し,抗動脈硬化を有する薬剤の選択など,血管合併症抑制を見据えた治療を行うことが重要である.
  • 澤田 雄宇, 中村 元信
    原稿種別: 総説
    2018 年 40 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 2018/03/01
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    皮膚は生体の最外層に存在する生体外と生体内を区分する重要な臓器であり,外的刺激からのバリア機能を主とした生体防御機構として働いている.食事や運動,睡眠などをはじめとした日々の生活習慣は,人が生きる上で欠くことのできない行動であるが,近年の報告では,この生活習慣が皮膚疾患と密に関連していることが報告されている.生活習慣と皮膚疾患とのかかわりについては,疫学的な調査を皮切りに,さまざまなアプローチでその病態に及ぼす影響が検討されてきた.皮膚科領域において,炎症性皮膚疾患の代表的なものとして乾癬があげられる.乾癬は特に生活習慣と密に関連しており,食事,睡眠,喫煙,飲酒などさまざまな因子から影響を受けている.乾癬の病態としてinterleukin (IL)-23/IL-17 axisを代表としたカスケードが重要であるが,日々の生活習慣はその病態に影響を与える可能性が考えられている.本総説では,日々の生活習慣がいかに乾癬の病態に関与しているかについて,疫学調査から具体的にメカニズム解析を行った研究を交えて報告する.
  • 産業医科大学
    2018 年 40 巻 1 号 p. 83-138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
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