学校検尿での尿糖陽性を契機に,バセドウ病による甲状腺機能亢進症,およびそれに伴う耐糖能異常と診断した小児例を報告する.症例は13歳女児.学校検尿で尿糖陽性が判明した.多飲や多尿の自覚はなかった.受診時,倦怠感,甲状腺腫が認められ,甲状腺機能亢進(TSH < 0.01 μU/ml,fT3 23.57 pg/ml,fT4 3.38 ng/dl),自己抗体陽性(TRAb 43.6%)で,バセドウ病と診断した.経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)では負荷後120分血糖のみが高値(142 mg/dl)で境界型であった.成人では甲状腺機能亢進症に耐糖能異常を発症することが報告されている.小児では耐糖能異常や糖尿病を合併した報告は稀で,学校検尿での尿糖陽性を契機にバセドウ病が判明した例はない.甲状腺機能亢進症に伴う耐糖能異常を見逃さないために,臨床症状が軽微であっても慎重な問診と診察を行う必要がある.