Journal of UOEH
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超音波気管支鏡ガイド下針生検での稀な合併症である破損穿刺針の除去に成功した1例:症例報告と文献的考察
内村 圭吾山﨑 啓平野 洋子阪上 和樹城戸 貴志迎 寛矢寺 和博
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2019 年 41 巻 1 号 p. 35-40

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抄録

超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は,アメリカ胸部医学会のガイドラインにおいて,縦隔リンパ節の診断に推奨されている.しかしながら,そのガイドラインには熟練した気管支鏡医によって施行される場合でのみと記されている.近年EBUS-TBNA施行時の穿刺針の故障に関連した合併症が報告されている.我々はEBUS-TBNAの珍しい合併症である破損穿刺針の除去に成功した稀な1例を報告する.症例は心筋梗塞の既往がある81歳男性であり,胸部CTにて縦隔リンパ節,右肺門リンパ節腫大の精査を行うために当院を紹介受診された.その患者の肺癌の診断とステージングのために22ゲージの穿刺針(NA-201SX-4022, Vizishot®, Olympus, Japan)を用いて気管分岐部リンパ節に対してEBUS-TBNAを行った.2回目の穿刺の後,我々は針先が破損し,右主気管支に突き刺さっていることに気がついた.我々は,ただちに内径8.5 mmのカフなし挿管チューブ挿入下に軟性気管支鏡を用いて破損した針先を除去した.針先の長さは13 mmであり,明らかに曲がっていた.なお,EBUSスコープに損傷はなく,本症例において他に処置に関連した合併症はなかった.EBUS-TBNA施行時の穿刺針の破損は稀である.しかしながら,破損した針先を吸い込んだり,飲み込むことで重大な合併症を引き起こす可能性がある.それゆえ,気管支鏡医はEBUS-TBNAにおける重要な合併症として,穿刺針が破損する可能性を知っておかなければならない.

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© 2019 産業医科大学
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