Journal of UOEH
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High Flow Nasal Cannula療法が慢性肺疾患の極低出生体重児の経口哺乳確立に与える影響
清水 大輔 荒木 俊介川村 卓桑村 真美菅 秀太郎三宅 芙由市川 俊金城 唯宗楠原 浩一
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2019 年 41 巻 2 号 p. 131-138

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抄録

極低出生体重児におけるhigh flow nasal cannula(HFNC)の研究として,人工呼吸器離脱後の呼吸補助作用や呼吸器使用に伴う鼻の創傷について経鼻持続陽圧呼吸(N-CPAP)と比較検討されてきた.しかし,HFNC療法が極低出生体重児の経口哺乳へ及ぼす影響に関してはわかっていない.今回の後方視的な検討では,慢性肺疾患を有する極低出生体重児を対象にHFNC療法が経口哺乳へ与える影響について検討した.対象となった45症例の慢性肺疾患を有する極低出生体重児中,11症例がHFNCを使用して経口哺乳が開始され,34症例がHFNCを使用せず経口哺乳が開始されていた.HFNC使用群は,HFNC非使用群と比較すると在胎週数,出生体重共に有意に低値であったが,酸素投与期間およびNICU在院日数には有意差をみとめなかった.また,HFNC使用群の経口哺乳開始時期の中央値(範囲)は修正週数35.3週(33.0 - 38.1) vs. 35.5週(33.7 - 42.4)(P = 0.91),経口哺乳確立時期は修正週数38.6週(34.4 - 42.3) vs. 36.7週(34.6 - 44.4)(P = 0.29)であり,HFNC非使用群と比較して有意な遅れを認めなかった.HFNC使用群において経口哺乳中の誤嚥性肺炎などの有害事象はなかった.慢性肺疾患の極低出生体重児においてもHFNCを使用することにより早期から安全な経口哺乳訓練が可能となり,経口哺乳の確立を安全に促進させる可能性が示唆された.

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© 2019 産業医科大学
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