Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療
米田 和恵今西 直子市来 嘉伸田中 文啓
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 41 巻 2 号 p. 153-163

詳細
抄録

上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の活性化変異の発見とEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKIs)の開発は,非小細胞肺がん(NSCLC)の治療戦略に変革をもたらした.EGFR変異を有する進行非小細胞肺がんに対しては,EGFRチロシンキナーゼ阻害剤はプラチナ製剤を含む化学療法よりも優れた生存期間の延長効果を認めるため,EGFRチロシンキナーゼ阻害剤が優先的に治療に用いられる.更に治療効果を高めるため,不可逆的なEGFR阻害によってより効果的な阻害作用を発揮するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤が開発された.最近の臨床試験により,不可逆的EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるオシメルチニブは,優れた生存期間延長効果と低い毒性をもたらすことが示された.また,EGFRチロシンキナーゼ阻害剤とプラチナ併用化学療法等との併用治療も,長期の生存をもたらす可能性が示されている.EGFR変異を有する早期の切除可能非小細胞肺がんについても,術前導入療法や術後補助療法におけるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の効果を検証するいくつかの臨床試験が進行中である.本稿では,EGFR変異陽性の非小細胞肺がんに対する治療の現状と将来展望につき概説および議論する.

著者関連情報
© 2019 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top