Journal of UOEH
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Endobronchial Ultrasound-Guided Transbronchial Needle Aspiration(EBUS-TBNA)の経験やトレーニングが診断率および安全性に与える影響の検討
中村 碧 内村 圭吾原 幸歌大平 秀典千葉 要祐根本 一樹東 泰幸田原 正浩池上 博昭平野 洋子阪上 和樹宇山 和宏先成 このみ立和田 隆川端 宏樹野口 真吾山﨑 啓川波 敏則矢寺 和博
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2019 年 41 巻 2 号 p. 179-184

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抄録

超音波気管支鏡ガイド下針生検(endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration: EBUS-TBNA)は近年本邦で汎用される手技となった.American College of Chest Physiciansのガイドラインでは,EBUS-TBNAは,適切なトレーニングを受けた,高精度な検査を施行できる術者が行うよう薦められている.しかし,経験や訓練の程度の明確な指標については不明な点が多い.当科では,EBUS-TBNAの十分な経験がない医師であっても,EBUS-TBNAのシミュレーターでの事前練習や検査介助の訓練を行った後,指導医(日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医)の監督の下に術者として施行するように指導している.今回,EBUS-TBNAの経験やトレーニングが診断率および安全性に与える影響について検討するため,EBUS-TBNA施行歴が1年未満の医師とEBUS-TBNA施行歴が1年間以上ある医師がEBUS-TBNAを施行した場合での診断精度や安全性を後方視的に比較した.2014年4月から2016年1月に当科にてEBUS-TBNAを施行し,最終的に原発性肺癌と診断された111例(148病変)を対象とし,2群に分けた.医師歴3年目でEBUS-TBNA施行歴1年未満の医師が検査した群をA群(43例,57病変),4年目以降でEBUS-TBNA施行歴が1年以上の医師が検査した群をB群(68例,91病変)とした.両群における診断率,検査時間,合併症について解析した.結果は,診断率(89.5% vs. 90.1%,P = 1.0),検査時間(27 ± 11.1分vs. 23 ± 9.1分,P = 0.149)において,統計学的有意差はなく,また両群ともに合併症は認めなかった.本検討により,気管支鏡の経験が比較的浅い医師であっても,十分な訓練と指導医の監督があれば,EBUS-TBNAの診断率において1年間以上のEBUS-TBNA施行経験のある医師と有意な差がないことが示唆された.

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© 2019 産業医科大学
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