Journal of UOEH
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ケア場面での学生が持つ羞恥のイメージ-看護学科1年生と2年生の比較-
辻 慶子 岩田 直美下條 三和萩原 智子笹木 葉子長多 好恵松本 真希児玉 裕美
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2019 年 41 巻 2 号 p. 203-209

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抄録

羞恥は主観的感覚であり,その強さを他人である看護師が正確に判断することは容易ではない.しかし,患者の感じる羞恥を,ケアの種類や状況によって可能な限り正しく推測し,患者への心理的負担を軽減することが看護師に求められる.病院で患者が感ずる羞恥の多くは,自分の肉体を劣ったもの,不都合のあるものと感じることが原因になると考えられる.本研究では,病院内で看護師が日常的に遭遇する場面を想定し,羞恥の強さを測定し,学習時期による看護教育の指導方法を検討することを目的とした.病院内で看護師や患者が日常的に遭遇する場面を表現したイラスト計13枚を使用し,羞恥の強さを評価した.イラストは著者らが独自に作成した.イラストは1.患者が看護師に身体を触れられている場面6種類と,2.患者の病棟での日常風景3種類から構成され,4種類のイラストでは,3.周囲に医療者以外の人が登場している場面も作成した.評価には,「まったく恥ずかしくない」を1点とし,「とても恥ずかしい」を10点とする10段階スケールを用いた.A看護大学の1年生と2年生を対象に実施した.その結果,1)肌を露出すること,2)肌の露出に関係なく自分の不自由な姿,さらに3)医療者以外の人がいることで羞恥が強まる,と看護学生は判断した.特に2)については1年生より2年生に高く表れたのは,基礎看護学を1年間学習したことで患者の立場で考えることができるようになったためと思われる.

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© 2019 産業医科大学
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