抄録
高齢者はしばしば嚥下障害から誤嚥性肺炎を発症するため嚥下機能評価は重要である.もっとも信頼性の高い嚥下機能検査は嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査であるが,これらの検査は高齢者には施行できないことも多い.そのため我々は医療従事者なら誰でもできる高齢者肺炎患者に対する摂食嚥下機能評価法のAssessment of Swallowing Ability for Pneumonia(ASAP)を開発し,その有用性を検討した.この研究は2016年1月から2016年6月に戸畑共立病院内科に入院した肺炎患者130名(男58名・女72名,平均年齢82.2 ± 13.0歳)を対象にした.ASAPとthe Mann Assessment of Swallowing Abilityの相関係数は0.97と強い相関を認めた.ASAPと重症度ごとのthe area under the curvesはそれぞれ0.98,0.95,0.94であった.ASAPは高齢者肺炎患者の嚥下機能評価法として有用である.