Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
TAVR時代の大動脈弁狭窄症の外科治療
西村 陽介 安恒 亨幾島 栄悟中島 英彦瀧川 友哉
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 41 巻 4 号 p. 397-408

詳細
抄録

大動脈弁狭窄症(AS)は最も多く見られる心臓弁膜症であり,特に高齢者に多く認められる.手術的大動脈弁置換術(SAVR)は最も有効な治療法であるが,手術リスクの高い症例ではその適応は時に難しく,高リスク患者に対しては不可能な時もある.近年では,わが国でもカテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)が認可され,高リスク患者・手術不能患者に対して広く行われるようになってきている.TAVRは人工心肺を要さず低侵襲でありその手術成績も良好であるので,欧米ではすでに中リスク患者まで適応は広げられ,さらに低リスク症例にまで広げられようとされており,その症例数は顕著に増加してきている.ASに対する有効な治療法の選択肢が拡大したわけであるが,今後はこれらの手術法の選択が重要となってくる.特に低リスク患者では,手術死亡のみならず,遠隔成績や合併症,Quality of lifeまで考慮する必要がある,このとき,患者の併存症が治療成績に影響を与えることを考える必要がある.本稿ではその併存症として透析を要する慢性腎不全,機能的三尖弁逆流,S字状中隔を取り上げ,これらを合併するAS患者におけるSAVR,TAVRの治療成績について概説する.

著者関連情報
© 2019 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top