筋肉および腱の痛みは教師にもっともよくみられる訴えのひとつである.本研究はフィリピンの公立学校教師における筋骨格系障害(MSDs)の有病率およびそのリスク要因を調査することを目的とした.フィリピンのサマル州カルバヨグ市地区の200名の公立中等学校の教師を対象とし,筋骨格系症状の分析には韓国産業安全衛生公団(KOSHA)のMSDs質問票(英語版)を使用した.回答者のMSDs有病率の確認には,度数および割合を計算した.カイ二乗検定およびロジスティック回帰を用いて,社会人口統計学的プロフィール,教育に関する変数およびMSDs有病率の相関関係を計算した.MSDsの全体の有病率は74.5%で,中でも脚(56.5%),腰(56%)がもっとも高かった.年齢群(P = 0.032)と賃金群(P = 0.045)にMSDs有病率の有意差がみられた.フィリピンの公立中等学校において,MSDsを有する教師は非常に多く存在しており,学校管理者,カリキュラムおよび方針の立案者,その他の利害関係者は,教師の労働環境を改善すべきである.