Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
Flash Glucose MonitoringでSGLT2阻害薬の短期的血糖改善効果が確認できた外来通院中1型糖尿病の2症例
羽生 桃子 岡田 洋右黒住 旭田中 良哉
著者情報
キーワード: 1型糖尿病, SGLT2阻害薬, FGM
ジャーナル フリー

2020 年 42 巻 4 号 p. 359-364

詳細
抄録

症例1は2年2か月前に1型糖尿病を発症した41歳男性.総インスリン量20単位以上,ミグリトール150 mgを併用してもhemoglobin A1c(HbA1c) 8-9%と血糖コントロール不良であった.外来でFlash Glucose Monitoring(FGM)を装着し,イプラグリフロジン50 mg投与すると速やかに夜間高血糖が改善し,平均血糖値も投与前205 mg/dlから投与6日目には119 mg/dlへ著明に改善した.2か月後には低血糖,ケトーシスを来すことなくHbA1c 7.2%まで改善した.症例2は1年9か月前に1型糖尿病を発症した46歳女性.高度肥満を伴い,総インスリン量50単位以上,メトホルミン2,250 mgを併用してもHbA1c 9-11%と血糖コントロール不良であった.外来でFGMを装着し,ダパグリフロジン5 mg投与すると2日目には夜間高血糖が著明に改善し,平均血糖値も投与前188 mg/dlから投与5日目には128 mg/dlへ改善した.4か月後には低血糖,ケトーシスを来すことなくHbA1c 8.0%へ改善し,体重も92.1 kgから89.8 kgにまで減少した.Sodium glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬はインスリン非依存性に血糖降下作用を示し,体重減少作用,血圧や脂質代謝改善など多面的効果が得られる.今回,外来通院中の1型糖尿病患者2例においてSGLT2阻害薬の短期的な血糖変動の改善効果をFGMで確認できたので報告する.

著者関連情報
© 2020 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top