Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
減圧障害の最善の対処法は何か? -初期対応の酸素吸入と高圧酸素治療について-
合志 清隆 森松 嘉孝錦織 秀治玉木 英樹石竹 達也
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 43 巻 2 号 p. 243-254

詳細
抄録

環境圧の不適切な低下で生ずる減圧障害は,気泡が原因の減圧症と肺の気圧外傷後の動脈ガス塞栓症の2つの病態を含んだものである.この治療法では高圧酸素治療の1つである酸素再圧治療が標準的と考えられてきたが,ランダム化比較試験での有効性は確認されていない.この治療の効果を客観的に評価するために,減圧障害のすべての病状,特に神経症状に対する治療効果を文献的に検討した.その結果,重症の減圧障害,なかでも脊髄障害では早期あるいは超早期に酸素再圧治療の有効性を積極的に支持する結果は明らかではなかった.一方で,初期対応としての酸素吸入は高い比率で減圧障害のすべての病状の改善ないし進行防止につながっていた.このような状況のなかで,国際的な高気圧・潜水医学の専門委員会は軽症の減圧障害には酸素再圧治療を行わなくても対処可能としている.今後の課題は減圧障害のなかでも高頻度の脊髄障害に対する酸素再圧治療と酸素吸入との比較検討が必要と考えられる.さらに,わが国で潜水作業や圧気土木作業を規定している高気圧作業安全衛生規則の問題を指摘してきたが,科学的根拠に基づいた改正が必要であると思われる.

著者関連情報
© 2021 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top