2021 年 43 巻 2 号 p. 263-269
高齢者の社会参加活動の継続を支援するには,自らの意志で移動できる手段を確保・整備することが求められ,その一つに電動カートが挙げられる.本研究は,地域で生活する高齢者が,電動カートを移動手段として活用するに至った経緯や電動カートを使ってどのような生活を送っているのかを明らかにすることを目的とした.研究方法として半構成的面接を行い,得られたデータを質的記述的に分析した.電動カートを移動手段の一つとして活用した経緯として,≪自動車運転免許の返納≫,≪下肢の障害による移動手段の喪失≫,≪電動カートへの興味と他者からの勧め≫,≪家族の協力状況≫の4サブカテゴリを含む【移動手段の確保】,電動カートを活用した日常生活の実際として,≪簡単な運転操作と安全装備≫,≪危険予測時の対応≫,≪危険のない現状≫,≪電動カート使用継続の意思≫の4つのサブカテゴリから構成された【安全な利用】と,≪行動範囲の維持・拡大≫,≪他者との交流≫,≪自分で買い物をする楽しみ≫の3つのサブカテゴリを含む【活動と参加】のカテゴリが抽出された.電動カートの活用がその人らしい生活に繋がっている一方で,事故が起こらないような取り組みを行う必要性が示唆された.