Journal of UOEH
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訪問看護師が高齢在宅療養者の看取り場所の選択で重視したアセスメント項目
上田 早紀平木 菜摘松本 萌果牧 綾香永田 千鶴
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2022 年 44 巻 1 号 p. 63-74

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抄録

日本では,約70%の人が自宅での死を望むが,自宅で最期を迎える人は13.6%に過ぎず,72.9%は病院で亡くなっている.本研究では,療養者・家族が看取り場所の選択で優先した要因と,選択した場所での看取りに対する療養者・家族の満足度を,訪問看護師の視点で明らかにすることを目的とした.A大学の在宅看護学実習施設である12の訪問看護ステーションで,1年以上の訪問看護経験を有する訪問看護師70名を対象とし,医療機関か自宅かの看取り場所の選択において療養者・家族が重視した要因と,それぞれの看取り場所における療養者・家族の満足度を10点満点で回答する質問紙調査を行った.訪問看護師67名の回答は,看取り場所が病院の場合は「家族の介護負担が少ない」,「苦痛を緩和する専門的な治療を受けられる」の2項目を,看取り場所が自宅の場合は「自分らしく過ごせる」「家族に居て欲しいときに居てもらえる」「手厚い看護が受けられる」「今までの担当医に診てもらえる」の4項目を重視してアセスメントしていた.また,訪問看護師は,看取り場所が自宅の場合,病院と比較して,有意に療養者・家族の満足度は高いと評価していた.よって,病院でも療養者・家族が自分らしく過ごすことができ,自宅でも専門的な治療が受けられるような,看取り場所の特性に応じた療養環境の整備と地域ベースの看取り支援の充実が,希望に沿った満足できる看取りの増加に繋がると考えられた.

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© 2022 産業医科大学
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