Journal of UOEH
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気管支鏡下反復肺区域洗浄が奏効した自己免疫性肺胞蛋白症の一例
眞鍋 尭彦 小山 倫太郎山口 雄大花桐 武志
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2022 年 44 巻 1 号 p. 83-89

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抄録

症例は49歳,男性.労作時呼吸苦を主訴に当院を受診した.来院時,呼吸促迫と重度の低酸素血症を認めた.胸部CTでは小葉間隔壁の肥厚を伴う両側の中下葉優位のすりガラス影を認め,血液検査で抗GM-CSF抗体の上昇を認めた.気管支肺胞洗浄液は白濁し,総細胞数は増多,リンパ球が87%を占めていた.以上の結果より,自己免疫性肺胞蛋白症と診断とされた.気管支鏡下肺胞洗浄を行う方針となったが,重度の低酸素血症を認め,気管支鏡検査中に強い咳嗽反射を認めたことから,全身麻酔下に気管支鏡下反復肺区域洗浄を施行した.合計3度の全身麻酔下気管支鏡による肺区域洗浄を施行した結果,呼吸状態および画像所見の顕著な改善を認め,現在,術後3年間無再発生存中である.全身麻酔下の気管支鏡下反復肺区域洗浄は,重度の低酸素血症を伴う自己免疫性肺胞蛋白症に対して有用な方法であると考えられる.

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© 2022 産業医科大学
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