在宅療養が推進され,退院調整や退院支援の充実が求められている.しかし,退院調整や退院支援に困難を感じている病院看護師もおり,患者や家族との間に認識の相違があると考えられる.退院直後に関わる訪問看護師もまた,在宅支援に困難を感じ,認識の相違に苦慮していると考えられた.本研究では,退院直後の療養者・家族と訪問看護師間の認識の相違とその解決方法を明らかにし,退院調整や退院支援の在り方を検討することを目的とした.訪問看護ステーションに勤務する訪問看護師100名を対象に質問紙調査を行った.有効回答81名(有効回答率:81.0%)の分析の結果,退院直後の療養者・家族と訪問看護師間の認識の相違は「訪問看護師,療養者,家族全て違う」状況であり,その内容は,「ケア内容のニーズ」と「予後の捉え方」が多かった.認識の相違の解決方法は,[意向の尊重][説明][入院中からの介入][サービス調整][療養者・家族との調整]にカテゴリー化された.退院直後の療養者・家族と訪問看護師の認識の相違を解消するためには,入院中から訪問看護師の介入を開始し,病院看護師と訪問看護師の連携により,療養者・家族との調整やサービス調整を重ね,まずは看護師間の認識の相違を解消しておくことが重要である.次に,患者・家族の意向を尊重した入院中から退院後の継続的な支援と,予後を含む病状の丁寧な説明およびチームで実践する段階的な退院調整・退院支援が求められる.