西欧においては乳癌の発生率は非常に高く, 13人に1人の婦人が病魔にむしばまれている. 早期乳癌の的確な診断がその予後を左右する. 西欧化された食習慣により本邦の乳癌発生率は近年, 急激に上昇しつつある. 近年, 乳癌の超音波検査法はレントゲン被曝の懸念がなく, かつ, 非観血的であり, 診断率も高いため臨床分野に普及しつつある. 乳癌の超音波組織特性の研究はより良い鑑別診断基準の確立, さらに高性能な乳癌超音波診断装置開発のために不可欠な研究分野であり, 現在までの超音波組織特性研究の歴史的背景を含めて乳癌組織特性を中心にその現況を総説した.