抄録
血清Type Ⅲ procollagen peptide(Pro(Ⅲ)-N-P) 値の測定が, じん肺およびbleomycin投与悪性リンパ腫患者の肺線維症の診断あるいは早期予知に有用であるか否かを検討した. 健常者の血清Pro(Ⅲ)-N-P値は8.60±2.35ng/mlであり, M±2SDの13.3ng/mlを正常値の上限とした. じん肺24症例のPro(Ⅲ)-N-P値は12.6±6.5ng/mlと有意(P<0.01)に高値であり, 24例中6例に異常高値がみられた. 本peptide値と胸部レ線所見,肺機能検査成績との間には一定の関係はみられなかった. bleomycinを投与された悪性リンパ腫7例のうち3例は投与期間中にPro(Ⅲ)-N-Pの上昇がみられ, うちbleomycinが長期にわたって投与された症例では, 著明な上昇がみられた. これらのことより肺線維症の診断法のひとつとして本peptide測定が役に立つ可能性が示唆された.