Journal of UOEH
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内因性疼痛抑制系
椿 隆行田中 孝夫重松 昭生
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1986 年 8 巻 2 号 p. 229-238

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抄録

内因性疼痛抑制系にはセロトニン系ニューロンによる下降性抑制系, ノルアドレナリン系ニューロンによる下降性抑制系, 内因性オピオイド系(これは下降性抑制系あるいは触覚で, 駆動される抑制系の一部である可能性がある)等があり, 基本的には末梢神経がらの侵害情報を中枢神経の人口である脊髄後角でコントロールしている. 大脳皮質, 辺縁系, 視床下部からの線維や皮膚からの求心性線維等が中脳中心灰白質を介してこれらの系を駆動する可能性が考えられている. ここでは中脳中心灰白質電気刺激により引き起こされる鎮痛の脊髄における機序を中心に概説した. 中脳中心灰白質刺激によって生じるインパルスの一部は延髄大縫線核のセロトニン含有ニューロンにより中継されて脊髄背外側索を下降し, 脊髄後角に入りシナプス後抑制により後角侵害受容ニュ一ロンの活動を抑制すると考えられる. この鎮痛に内因性オピオイド系が関与している可能性は少ない.

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© 1986 産業医科大学
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