Journal of UOEH
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ATPリボース置換体によるrecAタンパクの活性阻害
唐崎 裕治平野 英保東 監
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1987 年 9 巻 2 号 p. 141-147

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抄録
大腸菌の遺伝的組み換えに開与するrecAタンパクは, 多くの機能を持った酵素であり, 我々は一本鎖および二本鎖DNA依存のATP分解活性に焦点をあて,recAタンパクの構造と機能の研究を行った. ATPのリボースにアントラニロイル基またはメチルアントラニロイル基が結合した基質(以下Ant-ATP, Mant-ATPと略す)はrecAタンパクにより分解を受けず, ATP分解を拮抗的に強く阻害した. PH7.5, 一本鎖DNA存在下でのAnt-ATPとMant-ATPの阻害定数は8.1μMと4.5μMであり, ATP分解の他の拮抗阻害体であるADPの阻害定数46μMに較べてAnt-ATPとMant-ATPはrecAタンパクに非常に強い親和性を示した. pH6.2, 一本鎖または二本鎖DNA存在下でも, Ant-ATPおよびMant-ATPは強い阻害を示した. また, Hill係数を求めた結果, pH7.5, 一本鎖DNAおよびpH6.2, 二本鎖DNA存在下では, Ant-ATPおよびMant-ATPはrecA夕ンパクヘのATPのcooperative bidingに影響を与えることがわかった.
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© 1987 産業医科大学
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