抄録
フェニトロチオン(スミチオン®)をラットに9.5mg/m3の濃度で4時間吸入させ, 赤血球コリンエステラーゼ(ChE)活性と血漿ChE活性の変化, およびin vitroでのフェニトロチオンの両ChE活性への影響を調べた. その結果, in vitroではフェニトロチオンは赤血球ChEと血漿ChEに対し, ほぼ同一の活性抑制効果を示した. 一方, in vitro実験では赤血球ChE活性には変化が見られなかったが, 血漿ChE活性は顕著な低下を示し, さらに低下は約3日間続いた. これより, 生体のフェニトロチオンの急性低濃度暴露の有無については, 赤血球ChE活性ではなく血漿ChE活性が有益な指標となり得ることが示唆された.