抄録
Epstein-Barr Virus(EBV)によるトランスフォーメーション法を用いて作製された非A非B型肝炎関連のモノクローナル抗体48-1と, ヒト生検肝組織240例との反応性について検討した. 酵素抗体間接法(2次抗体:ペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgM・F(ab′)2)を用いた観察では, 非A非B型の急性肝炎で24例中15例(62.5%)と高い陽性率を示したのに対し, A型やB型の肝炎ではほとんど反応が見られず, この抗体48-1とヒト非A非B型肝炎との関連性が強く示唆された. また, 染色パターンは, 一部の肝細胞や大型の組織球の細胞質にびまん性顆粒状に染まり, 各小葉に散在して認められた. また, 陽性症例に対して免疫電顕法を用いて観察したが, ベルオキシダーゼ反応産物についての明らかな知見は得られなかった. 今後,ヒトの非A非B型肝炎の抗原抗体系の検索において, この抗体48-1は有用であると考えられた.