住宅建築研究所報
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田園都市(Garden Suburb)の計画とその住居形式に関する研究(I)
イギリスの実例の分析‐ハムステッド・ガーデン・サバーブを中心にして‐
香山 壽夫片木 篤
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1986 年 12 巻 p. 231-242

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抄録

 本研究は,19世紀後半から20世紀初頭にかけて建設され,その後の近代都市計画や建築に大きな影響を与えたと考えられる郊外住宅地計画とその住宅建築を研究するものである。本年度は,イギリスにおける事例を取り上げるが,その中でも特に田園郊外の傑作,ハムステッド・ガーデン・サバーブの都市計画と建築を詳細に分析する。本年度研究報告は5章から成る。第1章では,ハムステッド・ザーデン・サバーブの開発経緯を論ずる。まず開発の背景,契機,諸組織の活動について,創設者たるバーネット夫人の活動を中心に見てゆき,次にアンウィンの全体計画とラッチェンスのセントラル・スクエアのデザイン・プロセスを追跡する。 第2章では,ハムステッド・ガーデン・サバーブに至るまでのアンウィンの都市計画例とアンウィンの主著『都市計画の実践』(1909)を分析することにより,彼の都市計画の特質を明らかにし,それを近代都市計画史に位置付けることが試みられた。第3章では,パーカーとアンウィンの住宅建築を論ずる。1870年代以降の「住宅復興」(Domestic Revival)において,住宅に対する新しい理論と実践が展開された。ここではそれがパーカーとアンウィンに及ぼした影響を分析し,彼等の住宅理論や作品における平面,立面構成の特色を明らかにしている。第4章では,パーカーとアンウィンの住棟配置計画を,経済性,社会性,芸術性の観点から論ずる。その内,芸術的観点から見た住棟配置計画については,1)直線,あるいは曲線道路に沿った住棟配置,2)クルドサック道路とクアドラングル型住棟配置,3)道路交差点を囲むバタフライ型住棟配置の3つの場合を分析する。第5章では,ハムステッド・ガーデン・サバーブにおけるクルドサック道路とクアドラングル型住棟配置及び道路交差点を囲むバタフライ型住棟配置の実例を詳細に分析している。

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© 1986 一般財団法人 住総研
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