住宅建築研究所報
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日本と韓国の住居の近代化過程の比較考察
住様式の持続と変容
鈴木 成文小柳津 醇一畑 聡一初見 学在塚 礼子友田 博道長沢 悟曽根 陽子笠嶋 泰菊地 成朋
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1987 年 13 巻 p. 349-362

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抄録
 本研究は,韓国の住居における近代化の様相の把握を通して,相対的視野のなかで日本の住様式を考察し,今後の日本住居の在り方を探ることを目的としている。 韓国の調査に際しては住様式を幅広く考究するために,都市住居としてソウルの集合住宅・伝統的韓屋・戸建住宅を,農漁村住居として地域的に特色のある9集落を対象に,見学・実測・聴き取りを行った。調査は,ソウル大学李光魯教授,漢陽大学朴勇煥副教授らを中心とした韓国の研究者と共同で行い,朴研究室による大韓住宅公社アパートの住み方調査資料,李研究室による伝統的韓屋調査報告等も参考にした。本研究報告は2章から成る。第1章では韓国住居の諸相と変容の実態を,農村・漁村・都市住居について考察した。農村では伝統的生活様式として,「アンバン」が日常生活の中心的場として機能すること,団欒・食事の場を夏と冬で変えること,などが持続される一方,セマウル運動による住宅の合理化と新しい型の住宅の形成が並行して進んでいる。都市住居でも,韓屋に伝統的平面構成が残っているものの,オンドルの熱源や方式の変容,平面の合理化,動線の室内化,ダイニングキッチンと洋風居間の普及,設備の充実など,急激な近代化が進行しつつある。そして,社会に対して開かれた主人の場「サランバン」は,農村でも都市でも哀退しており,全体として男女有別の住み方はなくなってきている。 第2章では,伝統性の面でも,西欧化・近代化による変容過程の面でも,類似点の多い日本と韓国の住様式を比較考察した。(1)オンドルと畳,では住様式の持続性,(2)間取りの原理,では家族の統合,(3)アンバンの意味と変容,では家の中心性,(4)炊事と食事の場の変容,では生活の中での食事のもつ意味,(5)接客様式と住居の対社会性,では住居と近隣社会の関係,(6)中庭型と外庭型,では型固有の意味,について論考し,最後に,(7)計画行為の役割とその評価,で計画における目標設定の重要性を述べ,これからの方向として文化的なものをより重視した目標設定の必要性を指摘した。
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© 1987 一般財団法人 住総研
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